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和歌山の家族の風景

シリーズ「思い出の味」 第26回

和歌山の家族の風景

今も思い出す、懐かしい味と、かけがえのない時間の記憶

三門 綾

執筆者

三門 綾

執筆者プロフィール

三男坊の秘密のアイス

 エ、エッセイ!? 初めてだぞ、物を書くのなんて。大丈夫かなあ。

 「思い出の味」がテーマですって。思い出かぁ。そうだ、東京に住んでそろそろ十五年くらいかな? どうせなら田舎の話を。私は和歌山県の田辺市出身なので、ぜひその頃の思い出の味を。

 私は四人兄妹(長男、次男、三男の私、妹)の三男坊。なので、兄妹が絡んだ話になるなあ。

 男兄弟は野球をやっており、よく食べるんです。でもって、男兄弟は縦社会。ご飯はもちろん、おやつを食べるのも大変です。お菓子は兄妹でシェアできるサイズや形が当たり前なので、私一人で独占して食べられません。

 かといって、兄妹のパワーバランスを考えると平等にはなりません。歳の離れた妹は優遇されており、三男の私は兄たちに腕力で敵わず、立場が弱い。しかし、私は甘いものが大好き。どうしても人より多く食べたい! なのでめぼしいお菓子は、家の何処かに隠さないといけません。

 スナック菓子なら家の何処にでも隠せますが、アイスだと大変です。なぜかウチはアイスが年中冷凍庫にありました。例えば、ガリガリ君みたいな一箱六本くらい入ったやつがあるとしましょう。兄妹一人一本ずつ、残り二本のうちの一本は優遇されてる妹に。残りの一本を争うのです。早いモン勝ち。

 ただ、私が残りの一本を喰らうと、いつも兄たちから攻撃されます。だから二週間に一回だけアイスを隠すと決めていました。隠す場所は、冷蔵庫の冷凍ゾーンという狭い範囲。

 私はほぼ毎日、冷凍庫の食材の配置を微妙に変え(意外と誰も気づかない)、あまり食事に出てこない冷凍のブラックタイガー(エビ)の袋の中、中途半端に開いた冷凍チャーハンの袋の中と、この二か所を中心にアイスを隠しておりました。

 そして無事に次の別のアイスが追加され、前のアイスの記憶が皆からなくなった時に、それを一人でコソコソ食べるのです。

 ――その時の味は、格別でした!