2025年5月の最前線(芝居に映画に、神田松鯉一門の活躍)
「講談最前線」 第1回
- 講談
瀧口 雅仁
2025/05/13
神田松鯉先生の十八番が歌舞伎座で上演
講談はいつも面白い。そして講談はいつも新しい――。講談の魅力って? 講談ってどこで聴けるの? どんな講釈師がどんな講談を読んでいるの?と、それにお応えするべく、注目したい講釈師や会の情報、そして聴講記……と、講談界の「今」を追い掛けていきます。
神田松麻呂が魅せたアクター魂
人間国宝、神田松鯉一門の活躍が目覚ましい。人気者神田伯山の活躍は言わずもがなだが、二ツ目の神田松麻呂、神田鯉花の二人が高座から飛び出して、舞台に映画にと活躍を見せている。
大学時代に演劇を学び、いわゆる新劇で言えば、つかこうへいが大好き!という神田松麻呂は、2025年の2月、劇作家の横山拓也が自身の短編小説をもとに演出を手掛けた『ユアちゃんママとバウムクーヘン』の舞台に立った。タイトルを一見すると、なんだかほのぼのとしたストーリーのようであるが、その中身はというと、男の激しい心の攻防と葛藤が駆け巡るといった、そんな物語だ。
松麻呂が演じるトラベルライターの敏夫は、息子が所属するサッカーチームの合宿の下見役を頼まれる。いざ当日、待ち合わせ場所に向かうと、そこにいたのはユアちゃんママで、驚きと戸惑いに包まれながら、長野の戸隠へと向かう。男女二人での旅ということで戸惑う敏夫であるが、ユアちゃんママは堂々としていて、旅の間も遠慮することなしに、敏夫がドキッとするような言動を見せる……。

敏夫役の松麻呂がメインとなるリーディング公演であるが、どこか妖艶なユアちゃんママ役の橋爪未萠里(はしづめいゆり)の一挙手一投足に翻弄されながら進められる展開には、講談で鍛え上げられた確かな読みに、マクラの時に見せるハイテンションな松麻呂の表情、またそれに比するがごときドキドキする語り口が相まって、見ているこちらが思わず、「松麻呂!お前はどうするんだ!」と心の中で叫んでしまいそうになるほどの迫真の演技で、男の思いを描き上げてみせた。

60分という公演時間の中で、松麻呂、そして橋爪両人の魅力があふれた展開で、ぜひ、再演を望みたくもあり、また同じキャストで新しい作品を作り上げてもらえたらと、そんなことを期待したい作品であった。いや本当に。
(2025年2月21~25日、新宿眼科画廊 スペース地下にて)
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