徳島
「座布団の片隅から」 第6回
- 落語
三遊亭 好二郎
2025/10/07
君を忘れない
次の日の帰りの空港でも、わかめうどんを食べた。
うどんと鳴門わかめを思い切りすすった途端、あの分厚いわかめが喉に忍者のように張り付いてしまい、数秒間息が出来なくて危うく窒息しかけた。皆さんも気を付けてほしい。わかめは時に裏切ることがある。
今年、再び「セルフうどん やま」に行ったのだが、私の後ろでわかめうどんを食べていたオッサンが同じ状況になったようで
オッサン「ズルズルズル!!!…ウグゥ!?ブホォ!グゥェェェェ!」
店員「お客様!? 大丈夫ですか!? 大丈夫ですか!?」
と私おなじように死にかけているのが、後ろから聞こえて来た。私は去年の反省を活かしてものすごくゆっくり食べたので、そんなことにはならなかった。

徳島の落語会もいつも楽しみだ。
私が今行っている落語会の中でも最高齢のおばあちゃんが徳島にいる。なんと106歳。大正生まれである。徳島でも最高齢の方かと思ったら、上には上はいるらしく、徳島の最高齢の方は109歳なのだそうだ。
今そのお二人で、どちらが徳島最高齢になるかを争っているらしい。関係者の方が「まさにデットヒートですね!」と言っていた。この場面で使うのはちょっと違う気がするぞ! ちょっとおもしろいけど。
去年初めてお会いした時、落語会が終わった後、「好二郎さんね、覚えたよ。また来てね」と声をかけてくださった。100歳を超えた方にも喜んで頂けるのは、落語のおかげである。
今年、再び落語会で伺った際に、おばあちゃんに挨拶をした。
「三遊亭好二郎です。おばあちゃん! 今年も来ましたよ」
「……誰? わからん」
「ほら! 去年来ましたよ! 落語家ですよ」
「……わからん」
忘れられていた。
あぁ……私も鳴門わかめのように分厚く生きていきたい。
▼三遊亭好二郎 公式Webサイト
(毎月7日頃、掲載予定)
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