古今東西を自在に読む講釈師 松林伯知(中編②)
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第29回
- 講談
瀧口 雅仁
2026/03/14
速記を読み解き、芸譜を編む
―― すんなりとお許しいただけましたか。
伯知 師匠と一緒にご挨拶に伺ったのですが、安孫子社長は師匠と大学が同じで、早稲田トークでまず話が盛り上がってしまって……、「襲名! 今日は襲名の話するんですよ!」みたいな流れになって、そこで緊張はほぐれました(笑)。
実は襲名の相談が来た時に、社長は驚いたそうで、國井紫香先生が亡くなった年に生まれたので、「お前は、おじいちゃんの生まれ変わりかもねえ」なんて言われて育ったそうなんです。そんな自分のところに襲名の許可の話が来たから驚いた、と。これも運命だよねと思ったという話をしてくださり、許可をいただきました。國井紫香の娘にあたる、お母様にも許可をいただきました。「継ぐのは伯知の方で、紫香じゃないよね?」って確認はありましたが(笑)。襲名の条件は、「伯知という名前があったこと。二代いたことを、広く世間に知ってもらえるように活動すること」でした。
―― いい話ですね。襲名はその名前ばかりでなく、歴代の存在とともに襲うという姿勢が大切だと思っています。そこまでして継いだ「松林伯知」という名前ですが、襲名して良かったですか。
伯知 継いで良かった。気分が違います。伝統芸能に生きる者として、襲名にも憧れがありました。その憧れの名前を継げたということと、今はその名前を広く知られるよう頑張らねばならないという使命感に駆られています。
―― 「松林」という名前は今は一人です。かつてのように「松林」を冠する講釈師が増えていけばいいですね。
伯知 増やさなければ!という思いは強くありませんが、(松林の亭号が生まれた由来である)講談の『東玉と伯圓』でも描かれる時点に、まずはいったん人数が戻ったと思うことにして、先にもお話ししたように、数多くの速記が残ってるので、それを改めて読んで、歴史を残していく。そして系統を守り、松林派の芸譜をまとめていかなくてはならないと思っています。
最終回となる〈後編〉では、「新しいものを次々にかけていきたい」という伯知の考えに迫る。泉岳寺講談会の歴史、日本講談協会マスコット誕生の裏話、特撮をテーマにした講談や新作への思いなども紹介。講談の自由さと可能性が見えてくる。
(以上、敬称略)

▼『猫遊軒』講談師 松林伯知公式HP
▼松林伯知 X
(後編に続く)
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―― 瀧口雅仁「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」連載一覧
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