古今東西を自在に読む講釈師 松林伯知(後編)
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第30回
- 講談
瀧口 雅仁
2026/03/15
明治・大正の熱気を今ふたたび
―― 最近の講談界についてどのように思われていますか。
伯知 バラエティが広がって来たなと思います。ここまで来れば明治・大正の講談最盛期と言われる時代に近づいていけばいいなとも思っています。
―― まだメディアというメディアが今ほど発達していなかった時代に、講談は庶民にとって重要なニュースソースであったはずで、また大切な娯楽でもあり、求められていた芸能であったと思います。だからこそ、その頃は種々の講談があったわけで、今は情報量が多いから、反対に1つのテーマを深く描き出していく講談の人気が高まってきているように思います。私は講談は温故知新の芸であると思っているので、古典も新作も創作も関係のない、講談は「講談」であると思っています。
伯知 「これが天一坊」「これは義士伝」と、それはそれで好きですが、この演目が大ネタで、これは古典だからという権威付けはあまり好きではありません。それだけが凄いのではなくて、何をやってもワッと言われるような講談をずらりと揃えておきたいですね。狂言では一言一句間違えるなと言われ続けてきたので、あれこれ自由にできるのが講談の魅力であると思っています。
―― では、どんな講釈師を目指していますか。
伯知 「伯知は今はこれをやってるけど、次はあれをやってるって!」って、初代や二代目のように、古今東西問わず、あんな話もこんな話も自由に読めて、みんなに楽しみにしてもらえるような形を目指したいですね。
―― そのためにも次々に生み出される伯知流の講談を楽しみにしたい。
伯知 とにかく新しいものを次々にかけていきたい。新しいものが聞ければ楽しいはずですし、それは私の役割かも知れません。だから私の高座を聞いて「あ、聞いたことないな」と新鮮に思ってもらえるものをやっていきたいですね。
―― 今でも、その傾向は強いと思っています。時に「この演目、何だ?」と考えてしまう時があって、最後まで聴かなければ!という思いが楽しみであったりもします(笑)。
伯知 際物読み(きわものよみ)と言われてもいいので、そうした演目を読んでいきたいですし、それが私の使命なんだと思っています。そのためにも、もうちょっとやりやすい雰囲気を作っていきたい。
先ほども話しましたが、初代伯知は歌を唄い、芝居もやっていたそうです。幻燈を使って、映像入り講談も試みてましたし、時代を経て、大師匠や師匠もたちも立体講談をやったように、いろいろな試みがなされていた時代。明治・大正のあの頃のような時代がやってくれば、やって来て欲しい。そしてもっと多くの人に講談に目を向けていただけるように高座に臨みたいと思っています!

(以上、敬称略)
▼『猫遊軒』講談師 松林伯知公式HP
▼松林伯知 X
●近々の予定

伯知の講談忍法帖
昭和百年・特撮の巻
- 日程:
- 2026年3月21日(土)
- 開場 17:00 開演 18:00
- 会場:
- お江戸 上野広小路亭
- (台東区上野1-20-10)
- →Googleマップ
- 出演:
- 桂しん華
- 桂夏丸
- 瀧川鯉朝
- 藤本芝裕
- 松林伯知『円谷英二』他一席
- 座談:特撮トーク
- 料金:
- 予約 1,500円 当日 2,000円
- 予約:
- メール
- →kodan@hakuchi3.com
- ※公演名、人数、フルネーム、電話番号をお知らせください。
(了)
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