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亡き父の味と、鰻に導かれる名人の味

シリーズ「思い出の味」 第22回

 いやぁ、この出会いは衝撃でした。

 名古屋で子供を産むと、三代英雄(信長・秀吉・家康)の如くたくましくなると言われ、産み育てた娘たち。産後の疲れを取るのに良かったのか、味も食感もハマっちゃって週1回、ひつまぶし巡りしていた。数十軒もあるひつまぶし屋さんは、それぞれカリカリの焼き具合、出汁の味の昆布系・鰹系、タレの甘さなど自分の好みの店舗が見つかる。私も推し店ができるまでになった。

 6年間の名古屋での子育てパワーは、鰻からいただいたと言っても過言ではない。今や20歳になった娘たちも、母乳から出ていたのか、「名古屋へ行きたい」「ひつまぶしが食べたい」とせがむ。

 私自身も鰻が合う体質なのか、身体からサイヤ人のごとく熱が放出される。目がバキバキになる。ビタミンAが効きやすい体質なのかもしれない。

 それから再上京して6年後、芸人になったが、落語家というものは鰻屋さんで宴をする機会が多い。こないだの大師匠・遊三の米寿のお祝いも鰻屋さんだった。見よ、この鰻のフルコースを食べて満足げな一門の顔を! 私たちからのプレゼントのハンチングをかぶる大師匠の喜び溢れるピースを!!

 鰻が好きで落語家になったわけではないが、浅草演芸ホールの8月上席「にゅうおいらんず」の芝居の打ち上げも鰻。落語協会さんの「住吉踊り」に加入させていただいているのだが、8月中席、住吉踊りの決起集会でも鰻をいただいているし、鰻屋の女将さんも一芝居中に2回も住吉踊りを見に来てくださっている。

 鰻が繋ぐご縁も素晴らしいのだが、お陰様で8月下席の「禁演落語」の芝居まで、浅草演芸ホール1ヵ月間、体調を崩したことがない。