5月11日は、ご当地スーパーの日 →土地の味を追い求める男の旅情
「エッセイ的な何か」 第12回
- 落語
三笑亭 夢丸
2026/05/24
僕は、ご当地スーパー好きが高じて、プライベートな旅行でも時間が許せば、必ずと言ってよいほど見に行ってしまう。
僕の友人(と言っても還暦)が「酒好き、温泉好き、ご当地スーパー好き」と来ているので気が合い、ちょくちょくこのおじさんと一緒に旅をしている(でも肝心の落語は、そんなに興味がない)。
以前、電車で栃木に行き、日帰り温泉に入り、お決まりの流れで地元のスーパーへ。新聞紙で包まれた怪しげなドブロクを買い物カゴに入れ、おつまみを物色。ご当地ならではの逸品を求め、鮮魚コーナーに向かった。
海なし県の栃木で、「ご当地ならでは」の魚というのもよくわからないが、ともかく美味しそうな刺身(もちろん海水魚)を購入し、酒宴に良さそうな公園を探したのだが、なかなか見つからない。そうこうして数キロ歩いているうちに駅前のロータリーに着いてしまった。
ただ、平日のマイナーな駅前。ほとんど人影もない。もう、ここでひっそりとやらせてもらうか、と隅っこのベンチで開宴したのだが、ここで致命的なミスが発覚……。
醤油がない!
醤油の小袋はパック内に入っているのではなく、適量を自分で取るシステムだったことにまったく気が付かなかった。とは言え、また醤油の小袋を貰いに行くためだけに、10キロメートルほど往復はしたくない。だが、塩気はほしい。
よし、コンビニで買ってこよう、と思ったのだが、この近辺にはまったく存在せず。万事休すか……と思ってロータリーを見ると、観光案内所が。
藁にもすがる思いで入ってみると、地元特産品コーナーが! そこになんとたまたま売っていたのだ。
醤油が……500ミリリットルの。
多いな! そんなに要らない。数滴あればよいのに! しかも1800円!! 高っけぇ! 刺身より高っけぇ!!
だが、背に腹は代えられないので、涙を飲んでこの特産品という醤油を購入し、刺身とともに待つおじさんの元に。すると……
カラスに襲われとる!!!!!!
こんなマンガみたいにカラスに襲われてる人、初めて見た! 必死にカラスからドブロクと刺身を守っているおじさんと、それを唖然と見つめている醤油のボトルを持った男。まさに白昼夢。
カラスを警戒しながら飲むドブロクと食べる魚は、なかなかスリリングな味がしたのだった。ちなみに油断していると襲ってくる。帰り道は、この無用の長物の醤油がやたら重かった。
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