〈書評〉 どうせ世界は終わるけど (結城真一郎 著)
「“本”日は晴天なり ~めくるめく日々」 第12回
- 落語
- Books
笑福亭 茶光
2026/06/01
どうせ落語界は終わるけど
地球滅亡に向かって日常を生きる人々を主人公にした、オムニバス形式の短編小説集。
百年後という絶望するには早すぎる時間。巨大隕石がもたらす絶望と希望。
もしも同じシチュエーションが現実に起きたら自分はどうするだろうか?
想像してみるが、きっと今と変わらない日常を続けるしかないし、続けたいと思う。続けたいと思えることは、とても幸せなことだ。
物語の中で地球に迫る小惑星には『ホープ』という名前が付けられる。国家、民族、人種、宗教、すべてを超越して人類が一つになるチャンス、そんな祈りが込められたネーミング。
六つの短編には、それぞれ絶望と希望が絡み合っている。
そもそも地球が滅亡することは、現実の世界でも既に決まっていることだ。
グーグル先生に聞いてみた。
――地球そのものの物理的な終わりは約50億~75億年後、太陽が膨張して地球を飲み込む時とされています。しかし、生物が住めなくなる日はずっと早く、今から約5億年後に植物の減少や気温上昇が始まり、約20億~30億年後にはすべての生命が絶滅すると予測されています。
生命が絶滅するのは20億~30億年後らしい。
遠すぎてピンと来ないが、私たちも『どうせ世界は終わるけど』なのだ。
いや、地球の滅亡以前に世界は沢山の問題を抱えている。
日本も少子化や数々の問題を抱え、『どうせ世界は終わるけど』より先に『どうせ日本は終わるけど』になってしまう。そして、それより先に『どうせ落語界は終わるけど』が来てしまう。
『どうせ落語界は終わるけど』は、私たちにとっての『世界の終わり』に等しい。
落語会には『若いお客さん』が少ない。少ないというよりほぼほぼいない。
そして、これを読んで「何よ! 若い客がいないだなんて失礼しちゃうわ!」という心の狭いお客さん、落語風に言うなら了見の狭いお客さんもいない。
落語会に足繁く通ってくださる演芸ファンのお客さんは、基本的に優しい。そして、演者同様、落語会の未来を危惧している。
落語ファンがもっと増えたらいいのにと、同じ想いを持ってくださっている方が非常に多いように感じる。
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