NEW

旅路(下)

「座布団の片隅から」 第15回

 宇佐は、清水寺(せいすいじ)さんへ。

 ご住職と話をしているうちに、兼矢の地元、普済寺(ふさいじ)さんで起きた事件の話題に。どうやらお寺さんでは、あの皇帝が座るような椅子のことを“高座”というらしく、爆笑していた。

 さらに、普済寺さんの落語会の途中で旅立っていった兼矢の同級生と、ご住職は上司・部下的な関係だった様子。すごい偶然だ! ツアーの終盤に話が繋がってびっくり。そして、ご住職のご兄弟と、らっ好兄さんが福岡でたまたま一緒に飲んだこともあったそうで、偶然が重なった!

 この流れに乗って、僕も何かご住職とつながりがないかと、数少ない曹洞宗の知り合いの名前を出してみた。

僕 「曹洞宗の○○さんって知ってますか!?」
ご住職 「……え? ごめんなさい、誰ですか?」

 僕だけ流れに乗れずくやしい!!! またらっ好・兼矢にバカにされる。

 ついに今年のツアーも中津で千秋楽。例年は広島で千秋楽だったが、今回は「演芸処 中津堀川亭」で最終日を迎える。

 この会は、主催の豊前亭一門会の皆様がとにかくアツい会で、落語を盛り上げようという熱気がお客様に伝わるのか、毎年素晴らしい空気感になる。

 今回は千秋楽かつ、席亭たっての希望ということもあり、3人とも長講を1席ずつやって全力を出し切ることになった。燃えてきた!!

 この日は前半の兼矢・らっ好がノッていた。お客様の反応も良くて大熱演。終わった段階で既に90分近く経っていた。みんなで全力出すとは言ったが、やりすぎだよ!!(笑)

 休憩を挟んで、僕が最後の出番。前の2人の高座を受けて僕も『妾馬』に入った。僕は二ツ目で、芸もまだまだ未熟ということもあり、あまり日々の高座で手ごたえをガツンと感じることはない。

 だが、この日の高座は違った。初めて演者と、お客様と、会場と一緒に落語ができたと言おうか。未熟な自分が無我夢中で放ったパンチが、たまたま全てクリーンヒットするような感覚。

 3人とも魔法をかけられて、1日だけ名人にしてもらえたような落語会だった。……もちろん東京に帰って来てそれは幻だったとすぐ気づいたけど(笑)。

 落語、難しいって! いつになったら上手くなるんだよ!!