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一途に講談を生きる 田辺いちか(後編)

「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第43回

抜き読みという挑戦

いちか そうですよね。私が読んでいる『四谷怪談』は、今はまだ新しい形ですから、どこが抜き読みできるかがわからない。

 例えば『真景累ヶ淵(しんけいかさねがふち)』の「豊志賀(とよしが)」にしても、多くの噺家さんや講釈師が読んできて、お客さんの反応とかも見ながら、ここなら抜き読みで行けるんではないかという判断があったと思いますし、話自体が広く知られているからこそ、一席ものとしても成立したのかとも思うんです。どのあたりなら抜き読みで成立するのか…。『三角屋敷』のところで反応を示してくださった方があったので、あそこなら、とも思っています。

いちか 実は陰惨な見せ場は、私はあまり得意ではないんです(笑)。どちらかというと因果が巡り巡って展開する、物語の流れそのものに面白さを感じる、だから通しでやっています。また、通しでいろいろな人が読むうちに、自然と「ここだけは抜き読みができるのでは……」というシーンも見つかるのではと。

 『安政三組盃』にしても、私は連続でやってきたことで、『羽子板娘』と『間抜けの泥棒』のところが使えるなと思って、ワキの落語会などでもやっています。ですが、まだそこから先は使えるところが見つけられていない。ワンシーンでも使えるところがあればいいのになあと思うことが多いんです。

いちか (笑)。だから今、諸先輩方の高座を聴いていて、こんなこともできるんだ、あんな読み方もあるんだと勉強させていただいているところです。