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一途に講談を生きる 田辺いちか(後編)
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第43回
- 講談
瀧口 雅仁
2026/07/16
受け継がれる奇跡と責任
講談を聴く醍醐味の一つに連続物がある。壮大で長編、複雑に絡み合っていく登場人物とドラマチックな展開。それらをそれぞれの演者がどう聴かせていくのか。講談には軍記物に歴史物と数多くの連続物があるので、田辺いちかであれば、各々の話にどうアプローチしていくのか。いろいろな話を聴いていきたい。
最後に真打昇進に向けての、今の意気込みについて語ってもらった。
―― 今、いちかさんはとにかく講談が面白くて仕方がないということですね。
いちか はい(笑)。それに講談って、時間が必要なんだなと思っているところです。今、講談が面白いのは、諸先輩方が話に真摯に取り組んできた証なんですよね。だから私も、時間がかかっても、しっかりと取り組んでいきたいと思っています。
―― 先に田辺銀冶さんにインタビューした時に「今は、講談以外のことを考えていたくない」と話していたのを思い出します。
いちか その気持ち、ものすごくわかります! 早く披露目が終わらないかなとも思ってしまいます(笑)。
―― 話は突然変わりますが、今、いちかさんの秘密の気晴らしは何ですか。
いちか 銭湯に行くことです。2~3ヵ所くらいのところに通いつつ、私は頭を洗いながら稽古ができるので、ブツブツと。湯船の中でもブツブツと(笑)。

―― では、田辺いちか、どんな人ですか。
いちか どんな人なんだろうな~。危なっかしい人だと思います(笑)。思い込みが激しいというか、火が着いてしまうとブワーッと走り出してしまうところがあって、その点が高座にいい影響を与えてもいると仰っていただくことはあるのですが、今回、披露目を前に、火が着いたところで先輩方に相談すると、温かく助言をいただけたりする。
きっと先輩方は、私よりも私のことをご存じでいてくださるので「そっち行くと危ないよ」と仰っていただけるから、やっぱり芸人の世界っていうのは、こうやって育てていただけるんだなあと。だからといって、過干渉はされないんですが、いろいろと教えていただけるのは、愛だなあと思っています。
演劇の世界では、無名の新人がいきなり舞台に上がることはまずあり得ない。けれど伝統話芸の世界は、入りたての前座の拙い読みでも、お客様は10分、15分じっと聴いてくださる。ありがたい。奇跡です。でもそれは講談という芸が連綿と伝わってきている上にあって、だから新人の高座でもお客様は温かく聴いてくれる。自分一人の力でなく、講談界の連綿と続く歴史の流れの中で育ててもらっている。その流れの中にいるからこその奇跡だと思っています。
そしてその奇跡は、今度は次の人たちに渡していかなくてはならないし、渡す財産を目減りさせてはいけない。貰ったものを目減りさせて次世代に渡すことほど、カッコ悪いことはないと思っています。
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