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漂泊の思ひやまず

「コソメキネマ」 第十五回

漂泊の思ひやまず

今回は義理の父娘に情を尽くすも、また恋が実らない寅さん映画をご紹介

港家 小そめ

執筆者

港家 小そめ

執筆者プロフィール

はみだしっ子

 「浪曲火曜亭」という、毎週火曜日に田原町の浪曲協会会館で行っている浪曲会があります。浪曲二席の後のトークコーナーは、事前に質問用紙がお客様に配られており、そこに書かれた質問に答える形でトークコーナーが進んでいきます。

 先日、そのトークコーナーで好きな漫画は?という質問をいただきました。

 その時、挙げさせていただいたのが、三原順さんの『はみだしっ子』という漫画です。どんな漫画かと言いますと、1975年(昭和50年)から1981年(昭和56年)に白泉社の少女漫画雑誌「花とゆめ」に連載。舞台ははっきり明記されていなかったと思いますが、海外で(何となくイギリスかなと思います)それぞれ事情がある4人の家出少年が集まり、ある秘密を抱えながら、放浪していく話です。

 この頃の少女漫画は、様々な個性の漫画家の方がたくさん出現した面白い時代で、三原順さんもそのお一人かと思います。華やかな絵柄でしたが、内容は大変硬派。親子関係や、人の心の善意と悪意、正義とは、というような複雑な人間の世界を描いた作品で、漫画にもかかわらず、1ページ丸々文章で埋まっていたこともあり、驚きました。

 初めて読んだのは多分小学生高学年か、中学生くらいだったと思いますが、その頃に多大な影響を受け、私の中の一部を確実に作った漫画です。

 三原順さんは、この後も自殺をテーマにした「セルフ・マーダー・シリーズ」や、原子力発電を取り上げた『Die Energie 5.2☆11.8』『X Day』など心に楔(くさび)が打ち込まれるような様々な作品を描かれていましたが、1995年(平成7年)『ビリーの森ジョディの樹』の連載途中の40代で逝去されています。残された作品は今でも根強い人気があります。

 思い返してみると、『はみだしっ子』もそうですが、好きになるものの中に「放浪」という要素が入っているものが多いような気がします。

 例えば、何度も読み返した大島弓子(おおしまゆみこ)さんの『ロスト ハウス』という漫画。これもある意味、家を手放す話ですし、木皿泉(きざらいずみ)さんが脚本の『すいか』という大好きなドラマは小泉今日子さんが演じる銀行のお金を横領した馬場ちゃんが逃げ続けますし、心惹かれてやまない股旅映画に旅は欠かせない。

 憧れるのは、旅を楽しむ旅行ではなく、帰ることのない永遠に続く旅です。