〈書評〉 悪いものが、来ませんように (芦沢央 著)
「“本”日は晴天なり ~めくるめく日々」 第4回
- 落語
- Books
笑福亭 茶光
2025/09/30
私たちが息子にしてあげられること
私は前座の修業期間に妻と結婚したという、前座の風上にも置けないクズ前座だ。
妻は、漫才協会で『マリア』という女性お笑いコンビを組んでいる。当時、私は前座、妻であるマリアの“ゆみみ”は漫才協会の下っ端で、舞台袖の手伝いをしていた。私が浅草演芸ホールで寄席の開場を知らせる一番太鼓を力一杯叩いていた時、彼女も上の東洋館で公演の準備をしていたのだ。
夫婦で芸人の世界の下っ端という、とても哀しい新婚カップルだ。
一番太鼓には、ルールがある。「お客さん一杯来い!」という意味を込め、そう聴こえるように『ドンドンドントコイ! ドンドンドントコイ!!』と叩かなければいけない。しかし新婚である私がお客さんではなく、演芸ホール上の東洋館で下働きをしている妻に、『ア・イ・シ・テ・ル』と聴こえるように叩いていたのは言うまでもないだろう。
小2の息子は、芸人夫婦の息子だ。その影響なのか、時々「俺はみんなを笑わせたいんだ」と言うことがある。それは両親共に毎回成功するわけではない、とても難しいミッションだ。
きっとこれから彼には所謂、一般家庭の友達とは共有できないような苦労を感じさせてしまうかもしれない。いや、既に味わわせてしまっていると思う。
それでも息子への愛情は無償のもので、他にかけがえのないものだ。息子が自分が愛されて育ったということに何の疑問も持たないように成長してほしいと思う。
また、その親の愛が純粋に子供の幸せだけを祈り、そこに親のエゴが混ざってしまわないように気をつけなければいけない。

- 書名 : 悪いものが、来ませんように
- 著者 : 芦沢央
- 出版社 : KADOKAWA
- 書店発売日 : 2016年8月
- ISBN : 9784041044421
- 判型・ページ数 : 文庫判・304ページ
- 定価 : 814円(本体740円+税10%)
(毎月29日頃、掲載予定)
―― 笑福亭茶光『“本”日は晴天なり ~めくるめく日々』シリーズ連載一覧
いま読まれています!
「エッセイ的な何か」 第14回
「生きていてくれ」と思いながら落語をやった夏
~真夏も真冬も、落語は熱い!!!
三笑亭 夢丸
2026/07/22
「エッセイ的な何か」 第3回
8/31は、野菜の日 →ミョウガ21本を食べた男の記憶
~落語『茗荷宿』のウソとホント
三笑亭 夢丸
2025/08/19
「講談最前線」 第23回
2026年7月の最前線 【前編】 (講談界の襲名について考える)
~講談はいつも面白く、そして新しい
瀧口 雅仁
2026/07/17
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第10回
ああ…麗しの吉本興業……
~吉本興業を辞める話なのに、なぜこんなに爆笑してしまうのか!?
桂 三四郎
2026/05/12
シリーズ「思い出の味」 第25回
芸とともに受け継がれる一門伝統の味
~人を思い、芸を磨き、心をつなぐ伝統の味をほのぼのと綴った、食のエッセイ
露の 五九洛
2026/07/19
「くだらな観音菩薩」 第15回
阿弥陀如来
~同期であり、仲間であり、ライバルであり、親友だった一人の噺家への想い。そのままの言葉、そのままの心
林家 きく麿
2026/07/16
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第11回
オシャレは落語家を変える
~バレたら破門の危険なオシャレ!?
桂 三四郎
2026/06/28
「エッセイ的な何か」 第13回
6月26日は、露天風呂の日 →全裸のおじさんに囲まれた“おじさん”を見つめる男の苦笑
~湯けむりの向こうに、シュールな光景があった
三笑亭 夢丸
2026/06/24
「ピン芸人・服部拓也のエンタメを抱きしめて」 第10回
同郷熊本の小学校の先輩! 三遊亭ふう丈 改メ 二代目円丈師匠真打昇進襲名披露パーティー
~真打昇進披露パーティー体験リポート①
服部 拓也
2026/03/22
「芸人本書く派列伝 オルタナティブ」 第15回
〈書評〉 笑点出演者其俤 三〇〇〇回の記録と余禄 (神保喜利彦 著)
~ページを開けば、昭和の日曜夕方が帰ってくる。読むほどに『笑点』がもっと好きになる“非公式”ガイド
杉江 松恋
2026/07/20
「くだらな観音菩薩」 第15回
阿弥陀如来
~同期であり、仲間であり、ライバルであり、親友だった一人の噺家への想い。そのままの言葉、そのままの心
林家 きく麿
2026/07/16
「講談最前線」 第23回
2026年7月の最前線 【前編】 (講談界の襲名について考える)
~講談はいつも面白く、そして新しい
瀧口 雅仁
2026/07/17
シリーズ「思い出の味」 第25回
芸とともに受け継がれる一門伝統の味
~人を思い、芸を磨き、心をつなぐ伝統の味をほのぼのと綴った、食のエッセイ
露の 五九洛
2026/07/19
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第41回
一途に講談を生きる 田辺いちか(前編)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2026/07/14
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第42回
一途に講談を生きる 田辺いちか(中編)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2026/07/15
「エッセイ的な何か」 第14回
「生きていてくれ」と思いながら落語をやった夏
~真夏も真冬も、落語は熱い!!!
三笑亭 夢丸
2026/07/22
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第43回
一途に講談を生きる 田辺いちか(後編)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2026/07/16
「講談最前線」 第24回
2026年7月の最前線 【後編】 (聴講記:講談協会定席 / 講談『太閤記』小考④)
~講談はいつも面白く、そして新しい
瀧口 雅仁
2026/07/18
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第11回
オシャレは落語家を変える
~バレたら破門の危険なオシャレ!?
桂 三四郎
2026/06/28
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第10回
ああ…麗しの吉本興業……
~吉本興業を辞める話なのに、なぜこんなに爆笑してしまうのか!?
桂 三四郎
2026/05/12
「くだらな観音菩薩」 第15回
阿弥陀如来
~同期であり、仲間であり、ライバルであり、親友だった一人の噺家への想い。そのままの言葉、そのままの心
林家 きく麿
2026/07/16
「令和らくご改造計画」
第十二話 「荒れるチラシ」
~最近の前座さんたちは、時々おかしい
三遊亭 ごはんつぶ
2026/07/13
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第11回
オシャレは落語家を変える
~バレたら破門の危険なオシャレ!?
桂 三四郎
2026/06/28
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第41回
一途に講談を生きる 田辺いちか(前編)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2026/07/14
「二藍の文箱」 第14回
三遊亭小歌という落語家がいた
~忘れないでほしい、日の当たらない道を好む藝人もいることを
三遊亭 司
2026/07/02
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第42回
一途に講談を生きる 田辺いちか(中編)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2026/07/15
月刊「シン・道楽亭コラム」 第15回
彦八まつり、芸協らくごまつり、謝楽祭 ~三大祭を全部巡って見えた、それぞれの魅力
~同じ落語のお祭りなのに、三者三様の魅力が面白い。現地で感じた熱気と空気感をお届けします!
シン・道楽亭
2026/07/10
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第43回
一途に講談を生きる 田辺いちか(後編)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2026/07/16
「講談最前線」 第23回
2026年7月の最前線 【前編】 (講談界の襲名について考える)
~講談はいつも面白く、そして新しい
瀧口 雅仁
2026/07/17
「宇宙まで届け! 圧倒的お転婆日記」 第15回
このまま宇宙一を名乗っていて良いのか?
~宇宙一の美人浪曲師が綴る、愛おしすぎる芸人日記
東家 千春
2026/07/03
「くだらな観音菩薩」 第15回
阿弥陀如来
~同期であり、仲間であり、ライバルであり、親友だった一人の噺家への想い。そのままの言葉、そのままの心
林家 きく麿
2026/07/16
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第10回
ああ…麗しの吉本興業……
~吉本興業を辞める話なのに、なぜこんなに爆笑してしまうのか!?
桂 三四郎
2026/05/12
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第9回
優雅な航海中の後悔を公開
~“憧れの仕事”から繋がる伏線が鮮やかな船旅エッセイ!!!
桂 三四郎
2026/04/13
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第11回
オシャレは落語家を変える
~バレたら破門の危険なオシャレ!?
桂 三四郎
2026/06/28
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第5回
落語家の夢
~俺の目は、まだ濁っていない!!!
桂 三四郎
2025/11/27
「令和らくご改造計画」
第四話 「初心者よ永遠なれ」
~AIが落語を演じる時、それでも人は笑えるのか?
三遊亭 ごはんつぶ
2025/11/12
「令和らくご改造計画」
第六話 「若手人気落語家殺人事件 【事件編】」
~古典派と新作派の溝!?
三遊亭 ごはんつぶ
2026/01/12
「艶やかな不安の光沢」 第1回
謂れなきものたちの飛躍
~年始からとちってしまった芸人の胸のうち
林家 彦三
2026/02/12
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第6回
運と皆様のおかげです
~人間は弱い生き物です
桂 三四郎
2026/01/01
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第8回
微笑みながら中指を
~笑えて震える、ご近所交流録! マトリックスばあさん、降臨!!
桂 三四郎
2026/02/25
編集部のオススメ
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第11回
オシャレは落語家を変える
~バレたら破門の危険なオシャレ!?
桂 三四郎
2026/06/28
「エッセイ的な何か」 第13回
6月26日は、露天風呂の日 →全裸のおじさんに囲まれた“おじさん”を見つめる男の苦笑
~湯けむりの向こうに、シュールな光景があった
三笑亭 夢丸
2026/06/24
「くだらな観音菩薩」 第14回
烏瑟沙摩明王(うすさまみょうおう)
~叱るより先に、話を聞いてあげたい
林家 きく麿
2026/06/16
「令和らくご改造計画」
第十一話 「塀の中」
~最近の前座さんたちは、時々おかしい
三遊亭 ごはんつぶ
2026/06/13
月刊「シン・道楽亭コラム」 第14回
小学校で10年間、落語を読み聞かせしてわかったこと ~子どもたちにウケた噺ベスト3+番外編
~子どもたちは正直だった。だから落語の本当の面白さが見えた
シン・道楽亭
2026/06/10
「座布団の片隅から」 第14回
旅路(上)
~噺家3人の珍道中! 笑いと涙と二日酔いの落語ツアー前半戦
三遊亭 好二郎
2026/06/07
「二藍の文箱」 第13回
地図にない街、地図にない店
~京都、新宿、上野、浅草、池袋。師匠と行った名店の記憶
三遊亭 司
2026/06/02
掲載記事300本記念
〈掲載記事300本記念〉 柳家さん喬師匠 スペシャルインタビュー【前編】
~小さん師匠の「おめでとう」から始まる新しい年
話楽生Web 編集部
2026/01/25