鹿芝居狂想曲 ~しろうとしばいはおおにぎわい~
「すずめのさえずり」 第八回
- 落語
古今亭 志ん雀
2026/02/23
そして、当然のことながら自分の台詞しか覚えてこない。誰も喋らなくなったら自分の番かな、ってなものだ。そりゃ会話もキャッチボールもあったものではないのです。イメージとしてはどちらかというと、卒業式なんかで一言ずつ喋るアレ(たのしかったー、うんどうかいー。みたいなアレ。今もやるのかな)に近い。
馬生師匠の鹿芝居では、踊りの師匠がきちんと本格的な顔(化粧)をしてくれていたのだが、我々は予算の都合により自分でやる。白粉を塗る刷毛(はけ)は前回公演が終わってからそれっきりなので、もうバリッバリである。まずこれをほぐす。それから見様見真似で塗りたくっていくのだが、はっきり言って一回目の本番は「お互いの顔に見慣れるための時間」である。
ゲネプロ(衣装、小道具、化粧など、まったく本番と同じようにやる最終リハーサル)? そんなものあるわけがない。
明るい本番の舞台で、初めて相手役の顔を見てまあびっくり仰天。との粉(肌色っぽい白粉)はブレンド具合がわからないので昼と夜で顔色が違うし、単純にいい形をしたい人たちの集まりなので、白塗りじゃなくていいキャラまでがやたら白くなりがちなのも、鹿芝居ならではの特徴である。大駱駝艦(だいらくだかん)じゃないんだよ。
権助芝居なんかのマクラで、「花道から本舞台にかけて、蓑(みの)を着て鉄砲担いだ勘平が三十六人ズラーッ」というのがあるが、今度それを言ってみようか。

そして本来は一人ひとりの頭に合わせて作る鬘(かつら)だが、我々は予算の都合により既製品である。制作を手伝ってくださる方がどこで見つけてくるものか、ネットに出ている踊り用の中古鬘を見つけてきてくれる。だが予算の都合により人数分はない。
主役級の女形のみがホンモノの鬘、あとはパーティーグッズにあるようなゴム鬘。見ていると、ああこの人の手前で制作費が尽きたのだなあ、という事情が垣間見えて面白い。今回初めてゴム鬘でやったが、いやあ楽だったなあ。
でもあの、本物の歌舞伎と違って我々は衣装は自前ですからね。まあ予算の都合ですが。
ないない尽くしの令和鹿芝居であるが、今回は制作さんのご尽力で、長屋の書き割りになっている後ろ幕が登場した。大道具を建てる予算などあるわけがないので、これ一枚あるだけでいつもの高座が劇空間に早変わりだ。これは当分裏長屋が舞台の演目が続くということかな。文七元結とか。
鹿芝居メンバーの二ツ目さん、真打昇進のときにあの後ろ幕を使ったらいい。とってもわびしい感じが出ているので、ちょっとこれ、私がなんとかしてあげなきゃ!とお客様が思う……かもしれないよ。
いま読まれています!
「オチ研究会 なぜこのサゲは受けるのか?」 第十四回
百川、 お菊の皿、 ねずみ
~演者の視点から、オチの仕掛けや工夫を楽しく解説!
林家 はな平
2026/06/06
古今亭佑輔とメタバースの世界 第10回
リアルインスタンスレポート ~20代・30代が集まる落語会の正体
~仮想と現実の境界線の先に見えた、落語のあたたかな可能性
古今亭 佑輔
2026/06/05
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第10回
ああ…麗しの吉本興業……
~吉本興業を辞める話なのに、なぜこんなに爆笑してしまうのか!?
桂 三四郎
2026/05/12
「宇宙まで届け! 圧倒的お転婆日記」 第14回
ウケるごとに極まっていくその美貌
~宇宙一の美人浪曲師が綴る、愛おしすぎる芸人日記
東家 千春
2026/06/03
「二藍の文箱」 第13回
地図にない街、地図にない店
~京都、新宿、上野、浅草、池袋。師匠と行った名店の記憶
三遊亭 司
2026/06/02
「令和らくご改造計画」
第四話 「初心者よ永遠なれ」
~AIが落語を演じる時、それでも人は笑えるのか?
三遊亭 ごはんつぶ
2025/11/12
「“本”日は晴天なり ~めくるめく日々」 第12回
〈書評〉 どうせ世界は終わるけど (結城真一郎 著)
~終末へ向かう世界で希望を紡ぐ人々の物語
笑福亭 茶光
2026/06/01
古今亭佑輔とメタバースの世界 第9回
VRの利便性
~遠く離れていても、感じる温かい拍手。仮想空間での落語会の運営や舞台裏を佑輔さんが解説するコラム
古今亭 佑輔
2026/05/05
「令和らくご改造計画」
第十話 「オチログ」
~前座が作った落語家レビューアプリ「オチログ」を巡る狂騒。ブラックユーモア満載の笑撃作!
三遊亭 ごはんつぶ
2026/05/15
「芸人本書く派列伝 オルタナティブ」 第13回
〈書評〉 未来の大看板がここにいる いま、若手の落語家・講談師・浪曲師が面白い (宮信明 著 / 橘蓮二 写真)
~若手76人の魅力を研究者の視点と写真家の感性で活写した“読む寄席”
杉江 松恋
2026/05/21
「二藍の文箱」 第13回
地図にない街、地図にない店
~京都、新宿、上野、浅草、池袋。師匠と行った名店の記憶
三遊亭 司
2026/06/02
「宇宙まで届け! 圧倒的お転婆日記」 第14回
ウケるごとに極まっていくその美貌
~宇宙一の美人浪曲師が綴る、愛おしすぎる芸人日記
東家 千春
2026/06/03
「テーマをもらえば考えます」 第10回
半袖の長ズボン
~6月1日は、衣替え。落語家の着物事情から冬の半袖問題、パワーショルダー論まで飛び出す脱線エッセイ!!!
三遊亭 天どん
2026/05/31
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第39回
新しい響きを持つ講談への挑戦 神田おりびあ(中編)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2026/05/31
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第38回
新しい響きを持つ講談への挑戦 神田おりびあ(前編)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2026/05/30
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第40回
新しい響きを持つ講談への挑戦 神田おりびあ(後編)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2026/06/01
「“本”日は晴天なり ~めくるめく日々」 第12回
〈書評〉 どうせ世界は終わるけど (結城真一郎 著)
~終末へ向かう世界で希望を紡ぐ人々の物語
笑福亭 茶光
2026/06/01
「浪曲案内 連続読み」 第11回
浦安の風が吹いている
~かつて浦安にあった寄席と浪曲師の物語
東家 一太郎
2026/05/20
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第10回
ああ…麗しの吉本興業……
~吉本興業を辞める話なのに、なぜこんなに爆笑してしまうのか!?
桂 三四郎
2026/05/12
古今亭佑輔とメタバースの世界 第10回
リアルインスタンスレポート ~20代・30代が集まる落語会の正体
~仮想と現実の境界線の先に見えた、落語のあたたかな可能性
古今亭 佑輔
2026/06/05
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第10回
ああ…麗しの吉本興業……
~吉本興業を辞める話なのに、なぜこんなに爆笑してしまうのか!?
桂 三四郎
2026/05/12
「浪曲案内 連続読み」 第11回
浦安の風が吹いている
~かつて浦安にあった寄席と浪曲師の物語
東家 一太郎
2026/05/20
「芸人本書く派列伝 オルタナティブ」 第13回
〈書評〉 未来の大看板がここにいる いま、若手の落語家・講談師・浪曲師が面白い (宮信明 著 / 橘蓮二 写真)
~若手76人の魅力を研究者の視点と写真家の感性で活写した“読む寄席”
杉江 松恋
2026/05/21
月刊「シン・道楽亭コラム」 第13回
シン・道楽亭、誕生前夜から今へと続くキャリー・ザット・ウェイト Part.3
~橋本さん亡き後に立ちはだかった超大型の壁
シン・道楽亭
2026/05/10
シリーズ「思い出の味」 第6回
茶色いうどん
~自分の未来を見つめる8歳の少年
三遊亭 ごはんつぶ
2025/06/25
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第38回
新しい響きを持つ講談への挑戦 神田おりびあ(前編)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2026/05/30
シリーズ「思い出の味」 第11回
食べ物が詰まった、師匠桂三金の思い出と棺桶
~焼肉は落語
桂 笑金
2025/08/17
「令和らくご改造計画」
第十話 「オチログ」
~前座が作った落語家レビューアプリ「オチログ」を巡る狂騒。ブラックユーモア満載の笑撃作!
三遊亭 ごはんつぶ
2026/05/15
「くだらな観音菩薩」 第13回
願成就院の毘沙門天
~運慶が作った仏像に心が震えた、きく麿師匠。その一方で…
林家 きく麿
2026/05/16
「二藍の文箱」 第13回
地図にない街、地図にない店
~京都、新宿、上野、浅草、池袋。師匠と行った名店の記憶
三遊亭 司
2026/06/02
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第9回
優雅な航海中の後悔を公開
~“憧れの仕事”から繋がる伏線が鮮やかな船旅エッセイ!!!
桂 三四郎
2026/04/13
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第10回
ああ…麗しの吉本興業……
~吉本興業を辞める話なのに、なぜこんなに爆笑してしまうのか!?
桂 三四郎
2026/05/12
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第5回
落語家の夢
~俺の目は、まだ濁っていない!!!
桂 三四郎
2025/11/27
「艶やかな不安の光沢」 第1回
謂れなきものたちの飛躍
~年始からとちってしまった芸人の胸のうち
林家 彦三
2026/02/12
「令和らくご改造計画」
第四話 「初心者よ永遠なれ」
~AIが落語を演じる時、それでも人は笑えるのか?
三遊亭 ごはんつぶ
2025/11/12
「令和らくご改造計画」
第六話 「若手人気落語家殺人事件 【事件編】」
~古典派と新作派の溝!?
三遊亭 ごはんつぶ
2026/01/12
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第6回
運と皆様のおかげです
~人間は弱い生き物です
桂 三四郎
2026/01/01
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第8回
微笑みながら中指を
~笑えて震える、ご近所交流録! マトリックスばあさん、降臨!!
桂 三四郎
2026/02/25
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第7回
世間せまないか?
~落語家を多数輩出する片田舎、神戸の垂水
桂 三四郎
2026/02/01
シリーズ「思い出の味」 第19回
雪のココア
~内弟子時代に憧れた甘い味
柳家 わさび
2026/01/13
編集部のオススメ
「芸人本書く派列伝 オルタナティブ」 第13回
〈書評〉 未来の大看板がここにいる いま、若手の落語家・講談師・浪曲師が面白い (宮信明 著 / 橘蓮二 写真)
~若手76人の魅力を研究者の視点と写真家の感性で活写した“読む寄席”
杉江 松恋
2026/05/21
「浪曲案内 連続読み」 第11回
浦安の風が吹いている
~かつて浦安にあった寄席と浪曲師の物語
東家 一太郎
2026/05/20
「令和らくご改造計画」
第十話 「オチログ」
~前座が作った落語家レビューアプリ「オチログ」を巡る狂騒。ブラックユーモア満載の笑撃作!
三遊亭 ごはんつぶ
2026/05/15
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第10回
ああ…麗しの吉本興業……
~吉本興業を辞める話なのに、なぜこんなに爆笑してしまうのか!?
桂 三四郎
2026/05/12
月刊「シン・道楽亭コラム」 第13回
シン・道楽亭、誕生前夜から今へと続くキャリー・ザット・ウェイト Part.3
~橋本さん亡き後に立ちはだかった超大型の壁
シン・道楽亭
2026/05/10
「座布団の片隅から」 第13回
声優
~話題の人気アニメ『あかね噺』で声優デビューさせていただきました!
三遊亭 好二郎
2026/05/07
「ずいひつかつどお」 第10回
なぽりたんといっしょ
~つまり、ナポリタンはボヘミアン・ラプソディなのである
立川 談寛
2026/05/04
「宇宙まで届け! 圧倒的お転婆日記」 第13回
芸人、変な人多い
~宇宙一の美人浪曲師が綴る、愛おしすぎる芸人日記
東家 千春
2026/05/03
「二藍の文箱」 第12回
午後の逡巡
~その街に息づいた食堂で、ひとり手酌もまた愉し
三遊亭 司
2026/05/02
掲載記事300本記念
〈掲載記事300本記念〉 柳家さん喬師匠 スペシャルインタビュー【前編】
~小さん師匠の「おめでとう」から始まる新しい年
話楽生Web 編集部
2026/01/25