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船旅のススメ

「すずめのさえずり」 第十回

 人間のエンタメ以外にも、例えば花火クルーズでは、海の上の特等席から、ほぼ真上に上がる花火を楽しむことができる。遮るものひとつない海で見る花火の迫力は、とても言葉で表すことはできない。

 世界一周だと100日以上かかるが、近海を巡る1泊、2泊のショートクルーズもたくさんあるので、人生の思い出に一度は乗ってみることをおすすめしたい。

 「でも、クルーズってお高いんでしょう?」

 確かに格安ツアーや、LCCを駆使するような旅に比べれば高いが、高級ホテルがそのまま移動しているのだと考えれば、案外リーズナブルかもしれない。

 また、意外に思われる方が多いようだが、クルーズは、基本的に船が大きければ大きいほど安くなる。なぜなら一度に大勢乗せられるからだ。海外の20万トン級の超大型船になると、ホテルどころか、もはやひとつの街が、そのまま海に浮かんで移動していると言ったほうがいい。……船の中に遊園地があるだと?

 このクラスになると、1日あたり2万円を切る場合もある。ここに宿泊費と交通費、食事代にアトラクション料が含まれているのだから、なかなかオトクではありませんか?

 もし、いきなりクルーズは敷居が高いからよりお手軽に船旅を楽しみたい、というのであれば、今も定期運航されているフェリーはどうだろう。自販機で買う冷凍の食事も、船という非日常空間で食べればなぜか格別。

 首都圏であれば、東海汽船の「さるびあ丸」で行く伊豆大島が最も手軽。夜出港して朝には着く。早朝の海に浮かび上がる島影は素晴らしい光景だ。

 「にっぽん丸」は間もなく引退するが、その後を継ぐ「三井オーシャンフジ」が既に就航、秋には「三井オーシャンサクラ」もデビュー。日本郵船も「飛鳥Ⅱ」に続き「飛鳥Ⅲ」が就航した。

 せわしない陸上を離れ、たまにはのんびりと船の旅はいかが?

古今亭志ん雀 X

(毎月26日頃、配信予定)

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