新しい響きを持つ講談への挑戦 神田おりびあ(後編)
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第40回
- 講談
瀧口 雅仁
2026/06/01
社会のひずみを語る覚悟
―― これから読んでいきたい話があれば、教えてください。
おりびあ 師匠が社会派の講談を読んでいますが、私も社会問題を扱った講談をやっていきたい。不登校だとか、引きこもりだとか、マイノリティとかです。
先に岡本文弥師匠との出会いについて話しましたが、文弥師匠も反戦ものを扱っていました。20代の時に巡り合って、興味を持ったのも、今につながるのかもしれません。
―― ただし、今を題材にした講談を扱う場合、語弊があるかもしれませんが、生々しかったりすると、聴き手を選ぶことがあります。
おりびあ そうなんですよね。それに私自身、社会でやっていけなかった時のことは、記憶が飛んでいたり、蓋をしていたりするところもあるんです。ですが、講談をやって自分と向き合ったことで、社会のひずみと言えばいいでしょうか、逃げてはいられないと思ったんです。だから人と向き合って、問題を掘り起こしていければと思っています。
―― いわゆる古典の講談はいかがですか。
おりびあ 私にとって「話す」という行為は、自分を動かす運動の一つでもあって、昔の人から受け継がれてきた講談も大好きなんです。古典は磨かれている素晴らしい作品ばかりなので、もちろん読み続けていきます。
―― これから取り組みたい具体的な古典の演目はありますか。
おりびあ 『寛永三馬術』。それに『曽我物語』は『紋づくし』を読んだので、その他のところを読んでいきたい。あとは『源平盛衰記』。源平は『青葉の笛』と『巴御前』、『扇の的』を読みますが、ほかの場面も含めて、整理したいですね。
言葉とリズムを美文調で格調高く読む人もいますが、私には読めないので、機会があれば私は琵琶を入れたりもしたいです。
―― 源平の時代は『平家物語』を琵琶で奏する演者もいましたし、講談というジャンルで琵琶とともに演じるというのは聴いてみたいですね。それでは新作の方は?
おりびあ 今、『鯉の滝登り』という完全な新作を作っています。私は一つのモチーフから広げていくタイプなんです。内容は……。こんなものが講談になるのかというのも講談になりますし、新作修羅場シリーズも作っていきたいので、とにかく、楽しみにしていてください。
―― 最後に二ツ目になって、今、楽しいですか。
おりびあ う~ん、仕事を探してます!(笑) あとは生活のリズムが悪くなりました(笑)。みんな二ツ目になると楽しいって言ってますけど、楽しいことばかりでないので、自己肯定感が下がりまくっています。みなさま、どうぞよろしくお願いいたします!
(文中、敬称略)

▼神田おりびあ(講談協会 公式ホームページ)
▼神田おりびあ X
向じま墨亭での公演予定はこちら。ご予約お待ちしております!

神田おりびあの会
~『寛永三馬術』に挑む①
- 日程:
- 2026年7月4日(土)
- 開場13:30 開演14:00
- 会場:
- 向じま墨亭
- (墨田区東向島1-10-20)
- → Googleマップ
- 出演:
- 神田おりびあ
- 料金:
- 予約・当日 2,000円
- ご予約:
- メール → ticketbon@yahoo.co.jp
- ※お名前・電話番号・枚数を記載ください。チケットは当日受付での精算です。
(了)
前回はこちら
編集部のおすすめです(神田香織先生へのインタビュー)
―― 瀧口雅仁『釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編』連載一覧
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