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一途に講談を生きる 田辺いちか(中編)

「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第42回

打ち上げで明かした本心

 田辺一邑に関しては、当ウェブでも以前にインタビューをしたので、こちらをご参照願いたい。昭和の釈界で活躍した“ヒゲの一鶴”こと、田辺一鶴(たなべいっかく)の弟子で、以下に挙がる古典講談のほか、出身の浜松ゆかりの人物を取り上げた『フジヤマのトビウオ古橋廣之進(ふるはしひろのしん)』『山葉寅楠(やまはとらくす)オルガンを直す』といった自作の新作にも取り組んでいる。

いちか 『良弁杉(りょうべんすぎ)』と『湯水の行水』です。どっちが先だったかは定かではありませんが、この二席で、特に印象に残っているのが『湯水の行水』でした。

いちか 最初はすごい笑えるのに、いきなり武士の男同士の友情のようなものに変わっていく。それを小柄で可愛らしい女性が読まれて、頭の中でその世界を描くことができることに感動してしまって。九州出身なので、特に任侠心あふれる、語らずとも伝わる男同士みたいな話が好きということもあって(笑)、これを女性ができるなんて、と思ったんです。

いちか それがですね、メディアセブンでも講談のワークショップが開かれたり、台本が渡されて順番にやってみましょうというイベントで、何度もメディアセブンに行くようになって、スタッフさんとも顔見知りになった頃、「打ち上げに参加しませんか?」と誘っていただいたんです。その時、(神田)こなぎ姉さんがいたのを覚えているんですが、当時二ツ目の(瀧川)鯉八兄さんや(三遊亭)小笑兄さんもいた気もします。

 スタッフさんから「弟子入りしたいんじゃないんですか?」って言われてしまって、「あ、思っていたことを先に言われた!」って。でもそこで「いいえ」というのも変ですし、「実は、はい、お願いに上がりたいと思っていまして」と、その場で口にしたら、こなぎ姉さんが「ああ~」って(笑)。