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- 講談
瀧口 雅仁
2026/08/09
十年間背負った舵取り
―― やはり、会のやり取りとかでも大変だったんでしょうか。
紅 小さな組織ではありますが、運営していく中で細かなことも含めて、会長として対処しないといけないことがたくさんあって、それに振り回されることも多くありました。会長を引き受けてくれた神田昌味(まさみ)さんも「こんなに大変だとは思いませんでした!」って。
プレッシャーもありますし、責任もある。高座だって責任ある高座を務めなければならない。いろいろな判断をしなくてはなりませんし、そのためにも健康でなければいけない。だから降りてよかったというのが、正直な気持ちです。
―― 責任という荷を下ろして、楽になったといったところでしょうか。
紅 協会には力のある講釈師がいますし、会員間のバランスや舵取りが大変でした。昌味さんにも、社会の動きをしっかりと見据えて、決断していってほしいと伝えました。

昭和から平成にかけての東京の講談界の流れについては、拙著『講談事典』(丸善出版)を参照していただきたいが、現在の日本講談協会は、1991年(平成3年)に講談協会と袂を分かち、二代目神田山陽が会長となり、日本講談協会として再発足した(1973年、二代目山陽が講談協会を離れて日本講談協会を作り、1980年に講談協会に戻るという経緯あり)。
2000年(平成12年)に山陽没後、神田松鯉(しょうり)が会長を引き継いでから、2006年(平成18年)からは陽子、紫、紅の順でその職を務め、2016年(平成28年)から10年間、紅が会長を務めた。
現在は長く副会長であった神田昌味が会長、神田茜(あかね)が副会長を務めている。では長く会長であった紅がこの先、どんな高座を見せていきたいのかを次に尋ねてみた。
―― 先生は長年、伊藤野枝(いとうのえ)、野村望東尼(のむらぼうとうに)、高場乱(たかばおさむ)などといった女性、それにご出身地である福岡に関係する人たちなど、人物伝に取り組んでいらっしゃいます。
紅 「輝く女性シリーズ」と呼んでいて、一昨年は葛飾北斎(かつしかほくさい)の娘であるお栄(えい)など、創作講談をやってきたのは女性の生き方に迫っていきたいと思ってきたからで、やっとそれができるようになって、またそういう人たちに出会えて、それが形にできたのはよかった。
―― 今年は、日本初の国家資格を持った女医である荻野吟子ですね。
紅 本当は来年、芸道50年なので、そこに当てたかったんです。私、医師志望であったので。ところが今年、取り扱う人にどうしても巡り合えなくて、来年のことなんか今からわからないから、やりたい時にやっておこう!と思って決めました。
この間も熊谷の荻野吟子記念館まで行ってきて、吟子が一時期暮らした北海道にも行かなくてはと思っているところですが、今、いろいろと資料を集めています。
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