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落語好きの歯医者さんの話
「お恐れながら申し上げます」 第12回
- 落語
入船亭 扇太
2026/08/12
優しくて大らかな先生
この先生は矯正歯科の専門医で、特許も取っていらっしゃるそうです。なぜその道に進んだのかと尋ねると「血が嫌いなんだよね」とのこと。とても繁盛しているようで、患者さんからの評判も大変によろしいようです。
打ち上げが付いているのですが、歯科医仲間やご友人から色々と面白い話を伺います。「地球は平らなんだよ」と言われた時には、反応に困りました。
この会の打ち上げでは、必ず手作りピザが出てきます。ピザ窯を買ったそうで、こだわりの生地を前日から仕込んでくださいます。ピザの種類も会を重ねるごとに増えていきます。ピザでお腹いっぱいになります。開演前には、お弁当もご用意していただいております。
落語会専用の地下室に、立派な高座、高そうな着物類、お弁当に打ち上げに出演料と、とんでもない額のお金がかかっていると思いますが、先生はそんなことはお構いなしで、楽しそうに落語をおやりになります。私にも色々な話をしてくれます。大家の旦那というのは、こういう大らか人だったのだろうなと、そう思わせてくれる優しい先生です。
少し前になりますが、サッカーのワールドカップがありました。私はサッカーに詳しいわけではありませんが、ワールドカップとなりますと結果は気になります。毎日、朝晩のワイドショーで結果をチェックするのが日課になっていました。
6月21日がグループ予選の日本対チュニジア戦の日でした。私はこの日、先生の会に伺いました。いつもの時間に行くと会場内は暗く、テレビの光のようなものが壁に反射して、アナウンサーらしき人が話している声が大音量で聞こえてきました。
そっと扉を閉めて一呼吸。日付を間違えたかなと手帳を確認しましたが、ちゃんと書いてあります。意を決して中に入りました。「おはようございます」と、いつもより大きな声で挨拶をすると、スタッフの方が出てきてくれました。「ワールドカップですね」とひと言。
どうぞこちらにと通されますと、いつも高座がある場所には大きなスクリーンがあり、でかでかとサッカーの試合が映し出されていました。先生が「一緒に日本を応援しましょう!」と満面の笑みで椅子を勧めてくれました。
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