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2026年10月の最前線 【前編】 (田辺いちか、真打昇進記者会見 / 宝井琴調、池袋演芸場で初主任)

「講談最前線」 第29回

2026年10月の最前線 【前編】 (田辺いちか、真打昇進記者会見 / 宝井琴調、池袋演芸場で初主任)

新真打・田辺いちか(昇進記者会見にて)

瀧口 雅仁

執筆者

瀧口 雅仁

執筆者プロフィール

 講談はいつも面白い。そして講談はいつも新しい――。講談の魅力って? 講談ってどこで聴けるの? どんな講釈師がどんな講談を読んでいるの?と、それにお応えするべく、注目したい講釈師や会の情報、そして聴講記……と、講談界の「今」を追い掛けていきます。

講談界に吹く新しい風

 今月の「講談最前線」は、まず前編で9月に真打へと昇進し、現在、披露興行が行われている田辺いちかの真打昇進記者会見の模様と、宝井琴調の池袋演芸場での初主任の話題を取り上げた。

 続く後編では、この夏、佐渡島へ旅をしてきた際に出会った講談の舞台について、さらに5月に続いて11月に開催される、田辺銀冶と宝井琴凌による俥読みでの『新吉原百人斬』に注目する理由をご紹介する。

真打という新たな出発点

 2026年秋の講談協会の新真打、田辺いちかの昇進披露パーティに先立ち、協会主催による記者会見が9月27日(日)に浅草ビューホテル3階の「祥雲の間」で行われた。

 司会はいちかの兄弟子にあたる田辺凌鶴(りょうかく)。壇上には、いちかを中央に、上手に講談協会会長の宝井琴調(きんちょう)、下手に師匠である田辺一邑(いちゆう)が並んだ。最初に司会の挨拶があり、続いて琴調会長、一邑の挨拶。そして新真打いちかの抱負が語られ、その後、質疑応答となった。

 以下に、その時の模様を報告する。ただし、表現は適宜読みやすいように整え、類似した質問などはまとめるなどした。なお、質問者は複数である。

琴調 本日はお忙しい中をありがとうございます。改めて申し上げることは何もありません。ご存じの通り、いちかが大変に頑張ってくれまして、今日という日を迎えることができました。講談界が栄えていくことができましたらうれしく感じております。どうぞよろしくお願いいたします。

一邑 みなさま、本日はありがとうございます。いちかの顔は知っていても、師匠の顔は知らないよという方は多いと思いますが、おかげさまでいちかが真打昇進の運びとなりまして、また講談界に一つ真打の花が咲くということになりました。時にはご指導くださり、陰になり日向になり、どうぞ末永くいちかの活躍を見守りください。よろしくお願い申し上げます。

いちか 本日、真打昇進という日を迎えることができましたのは、ひとえに師匠一邑、そしてご指導いただきました数多くの先輩方、講談を聴き続けてくださいましたお客様のおかげと存じております。私は講談というものを何も知らないまま、初めて師匠一邑の高座を聴いた時に「なんて面白いものがこの世にあるんだ。講談ってこんなに面白いんだ」と思いまして、夢中で二年くらい通い詰めて、弟子入りを許していただき、今に至るまで講談は面白いという気持ちでおります。

 この度、昇進のお話をいただいた時に、ちょっと早いなあ、もう少し二ツ目のまま、この面白い講談を勉強していたいなあという気持ちが正直ございました。けれども諸先輩方のお話を聴いて、真打という責任を負うからこそ見えてくる面白さもあるのだと心得まして、一席一席また研鑽(けんさん)を積んでいきたいと思っております。

 前座の時に、客席にいらっしゃる80代くらいのお客様が、70歳の先生の高座を見て、「伸び盛りだねえ」とおっしゃっていたのをよく覚えておりまして、講談というのは歳を重ねれば重ねるほど面白くなっていく、芸が深まっていく、そういう稀有な世界なんだなあと改めて毎日の修業を通して思っております。

 この世界に出会ったことを大変うれしく思っております。そしていつか自分も客席で聴いた時のように、初めて講談を聴くお客様にも「なんて、講談って面白いんだろう」と思っていただけるように、その衝撃をお返しできるように、これから先も研鑽を積んでいきたいと思っております。何卒、今後ともよろしくお願いいたします。