伝統を纏い、革新を語る 神田陽子(後編)
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第14回
- 講談
瀧口 雅仁
2025/09/29
真打昇進披露の口上にて。昭和63年、師匠・山陽と(神田陽子・提供)
一時期、絶滅危惧種とまで言われるも、現在、東西合わせて120名を超えるまでになった講釈師。江戸から明治、大正、昭和と、主に男性が読み継いできた芸であったが、平成、令和と時代を経て、女性目線による女性の講談が世に送り出されてきた。その時、講釈師は何を考え、何を読んできたのか。第一線で活躍する女性講釈師に尋ねてみた。(神田陽子先生の前編/中編/後編のうちの後編)
54歳での大学挑戦
「温故知新」という言葉があるが、神田陽子はこれまでの活動を活かして、今も動き続けている。それは以下の項で口にする「山陽イズム」を確かな形で継承しているからであろう。結婚生活、大学生活を経て、これからの講談に対して何を思うのかを最後に尋ねてみた。
―― 3年前には「コテコン」の復活もありました。
陽子 「コテコン」ね……。面白かったんだけど、みんな年を取っちゃったんで、続けるのは無理だから、4年に1回くらい、オリンピックの時にやろうかって。琴調先生も講談協会の会長に就任されて活き活きしていて良かったです。もっと早くに会長になられて、講談界を盛り上げてもらっても良かったですよね。
―― あの……、結婚していた時代のことに触れてもいいんですか。
陽子 いいですよ。結局、みんなが思っていた通りでした。気持ちが盛り上がっていたんです。あとでみんなに言われました。「あの時はおかしくなっていた」って。でも母がまだ元気だったんで、花嫁衣裳を見せられたのは良かったなと思います。昨年(2024年)、友達がカナダで結婚したんです。その友達を見ていて、結婚とかではなくて、前向きになれるパートナーとお喋りできたりするのはいいなあと思いました。
この年になると、同窓会が増えるんですよ。この間も中学の時の集まりがあって、初恋の男性と会ったんですが、あの頃はひと言も口が利けなかったのに、年を取ると喋れるんですよ。どこかに出掛けたり、食事に行ったり。だから年取るのもいいなあって。以上です(笑)。
―― 年齢のことを言うのは失礼かも知れませんが、54歳―実は私が今54歳なのですが、先生はその歳に大学に進学されました。生涯教育の時代とされますが、大学に行こうと思った理由はなんですか。
陽子 母親が亡くなって、住んでいた家が売れたんです。そのままにしておくと、使ってなくなっちゃうから勉強しようって思ったんです。それまでにも客員教授として講談を教えていたんですが、大学でどんな勉強をしているのか知りたくて、通信教育で勉強できる大学を探したところ、早稲田が充実していたので、54歳の時に人間科学部というところに入学したんです。
私は早稲田大学に縁があるんです。真打に昇進した時の口上書は暉峻康隆(てるおかやすたか、早稲田大学名誉教授・国文学者)先生にお願いして、NHKの「お達者くらぶ」で4年もアシスタントをさせていただいたんです。そこでの話術がまた勉強になりましたし、例えば『赤垣源蔵(あかがきげんぞう)』はこういう人だよと手紙を下さったり、いい先生でした。卒論は「講談熟達者と初学者の音声の比較」で、先ほど話した通りのことを書きました。
いま読まれています!
「ピン芸人・服部拓也のエンタメを抱きしめて」 第15回
揺れ動いた、30代最後・熊本での夏
~祭り、地震、再会、人の優しさ。この夏に見つめた、自分の笑いの原点とは?
服部 拓也
2026/08/28
「かけはしのしゅんのはなし」 第15回
海水浴は、だいたい思い通りにいかない
~楽しいはずの家族旅行に、次々と試練が……
春風亭 かけ橋
2026/08/29
「講談最前線」 第25回
2026年8月の最前線 【前編】 (神田鯉栄が帰って来た!)
~講談はいつも面白く、そして新しい
瀧口 雅仁
2026/08/24
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第12回
プロレタリアの街
~「絶対にここに戻ってきたらあかんで」そう言われた青年は22年後、落語家として帰ってきた。笑って最後にじんとくる実話エッセイ!!!
桂 三四郎
2026/08/10
「講談最前線」 第26回
2026年8月の最前線 【後編】 (聴講記:津の守講談会、田辺凌鶴の会 / 講談『太閤記』小考⑤)
~講談はいつも面白く、そして新しい
瀧口 雅仁
2026/08/25
シリーズ「思い出の味」 第21回
レンズ豆のスープ
~若き日、スペインでの空腹、フラメンコギター、そして人の優しさ
天中軒 景友
2026/04/17
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第11回
オシャレは落語家を変える
~バレたら破門の危険なオシャレ!?
桂 三四郎
2026/06/28
「エッセイ的な何か」 第15回
あの夏の夜、前座たちは海を目指した
~師匠には内緒の、前座五人の小さな冒険。特別ではない一夜が今も心に残る、夏の青春譚
三笑亭 夢丸
2026/08/21
「コソメキネマ」 第十六回
二階から
~「馬の脚」専門の旅役者の矜持と哀愁を描く映画『旅役者』をご紹介
港家 小そめ
2026/08/23
「マクラになるかも知れない話」 第十三回
霊んメイカー2
~日常の些細なモヤモヤを、落語みたいに笑い飛ばしてくれる爽快エッセイ!?
三遊亭 萬都
2026/08/25
「講談最前線」 第25回
2026年8月の最前線 【前編】 (神田鯉栄が帰って来た!)
~講談はいつも面白く、そして新しい
瀧口 雅仁
2026/08/24
「ピン芸人・服部拓也のエンタメを抱きしめて」 第15回
揺れ動いた、30代最後・熊本での夏
~祭り、地震、再会、人の優しさ。この夏に見つめた、自分の笑いの原点とは?
服部 拓也
2026/08/28
「マクラになるかも知れない話」 第十三回
霊んメイカー2
~日常の些細なモヤモヤを、落語みたいに笑い飛ばしてくれる爽快エッセイ!?
三遊亭 萬都
2026/08/25
「コソメキネマ」 第十六回
二階から
~「馬の脚」専門の旅役者の矜持と哀愁を描く映画『旅役者』をご紹介
港家 小そめ
2026/08/23
「講談最前線」 第26回
2026年8月の最前線 【後編】 (聴講記:津の守講談会、田辺凌鶴の会 / 講談『太閤記』小考⑤)
~講談はいつも面白く、そして新しい
瀧口 雅仁
2026/08/25
「すずめのさえずり」 第十三回
夏
~小学生のみんな、夏休みの宿題は自分でやろうな!!
古今亭 志ん雀
2026/08/26
「かけはしのしゅんのはなし」 第15回
海水浴は、だいたい思い通りにいかない
~楽しいはずの家族旅行に、次々と試練が……
春風亭 かけ橋
2026/08/29
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第4回
あふれる情熱と笑顔 神田鯉花(前編)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2025/06/27
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第12回
プロレタリアの街
~「絶対にここに戻ってきたらあかんで」そう言われた青年は22年後、落語家として帰ってきた。笑って最後にじんとくる実話エッセイ!!!
桂 三四郎
2026/08/10
「エッセイ的な何か」 第15回
あの夏の夜、前座たちは海を目指した
~師匠には内緒の、前座五人の小さな冒険。特別ではない一夜が今も心に残る、夏の青春譚
三笑亭 夢丸
2026/08/21
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第12回
プロレタリアの街
~「絶対にここに戻ってきたらあかんで」そう言われた青年は22年後、落語家として帰ってきた。笑って最後にじんとくる実話エッセイ!!!
桂 三四郎
2026/08/10
「講談最前線」 第25回
2026年8月の最前線 【前編】 (神田鯉栄が帰って来た!)
~講談はいつも面白く、そして新しい
瀧口 雅仁
2026/08/24
「宇宙まで届け! 圧倒的お転婆日記」 第16回
まだ満足にビールが飲めていない夏
~宇宙一の美人浪曲師が綴る、愛おしすぎる芸人日記
東家 千春
2026/08/03
「令和らくご改造計画」
第十三話 「誰のおかげで」
~最近の前座さんたちは、時々おかしい
三遊亭 ごはんつぶ
2026/08/13
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第44回
情熱に出会い、魂を語る 神田紅(前編)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2026/08/09
「テーマをもらえば考えます」 第12回
スイカの夏
~天どん師匠のスイカへのこだわりから始まる、笑い満載の夏エッセイ
三遊亭 天どん
2026/07/31
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第46回
情熱に出会い、魂を語る 神田紅(後編)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2026/08/11
「座布団の片隅から」 第16回
別荘
~優雅な大人の夏休み……のはずだった。涼やかな高原の別荘での珍事件を綴る爆笑避暑日記!!
三遊亭 好二郎
2026/08/07
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第45回
情熱に出会い、魂を語る 神田紅(中編)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2026/08/10
「お恐れながら申し上げます」 第12回
落語好きの歯医者さんの話
~歯科医院の地下室に灯る落語の明かり
入船亭 扇太
2026/08/12
「くだらな観音菩薩」 第15回
阿弥陀如来
~同期であり、仲間であり、ライバルであり、親友だった蜃気楼龍玉師匠への想い。そのままの言葉、そのままの心
林家 きく麿
2026/07/16
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第10回
ああ…麗しの吉本興業……
~吉本興業を辞める話なのに、なぜこんなに爆笑してしまうのか!?
桂 三四郎
2026/05/12
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第9回
優雅な航海中の後悔を公開
~“憧れの仕事”から繋がる伏線が鮮やかな船旅エッセイ!!!
桂 三四郎
2026/04/13
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第11回
オシャレは落語家を変える
~バレたら破門の危険なオシャレ!?
桂 三四郎
2026/06/28
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第5回
落語家の夢
~俺の目は、まだ濁っていない!!!
桂 三四郎
2025/11/27
「令和らくご改造計画」
第四話 「初心者よ永遠なれ」
~AIが落語を演じる時、それでも人は笑えるのか?
三遊亭 ごはんつぶ
2025/11/12
「令和らくご改造計画」
第六話 「若手人気落語家殺人事件 【事件編】」
~古典派と新作派の溝!?
三遊亭 ごはんつぶ
2026/01/12
「艶やかな不安の光沢」 第1回
謂れなきものたちの飛躍
~年始からとちってしまった芸人の胸のうち
林家 彦三
2026/02/12
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第12回
プロレタリアの街
~「絶対にここに戻ってきたらあかんで」そう言われた青年は22年後、落語家として帰ってきた。笑って最後にじんとくる実話エッセイ!!!
桂 三四郎
2026/08/10
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第6回
運と皆様のおかげです
~人間は弱い生き物です
桂 三四郎
2026/01/01
編集部のオススメ
「かけはしのしゅんのはなし」 第14回
師匠、もうヨーグルト食べたくないって言ってたよ
~お中元は品物を渡す日ではなく、感謝を届ける日!!
春風亭 かけ橋
2026/07/24
シリーズ「思い出の味」 第25回
芸とともに受け継がれる一門伝統の味
~人を思い、芸を磨き、心をつなぐ伝統の味をほのぼのと綴った、食のエッセイ
露の 五九洛
2026/07/19
「くだらな観音菩薩」 第15回
阿弥陀如来
~同期であり、仲間であり、ライバルであり、親友だった蜃気楼龍玉師匠への想い。そのままの言葉、そのままの心
林家 きく麿
2026/07/16
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第41回
一途に講談を生きる 田辺いちか(前編)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2026/07/14
「令和らくご改造計画」
第十二話 「荒れるチラシ」
~最近の前座さんたちは、時々おかしい
三遊亭 ごはんつぶ
2026/07/13
月刊「シン・道楽亭コラム」 第15回
彦八まつり、芸協らくごまつり、謝楽祭 ~三大祭を全部巡って見えた、それぞれの魅力
~同じ落語のお祭りなのに、三者三様の魅力が面白い。現地で感じた熱気と空気感をお届けします!
シン・道楽亭
2026/07/10
「二藍の文箱」 第14回
三遊亭小歌という落語家がいた
~忘れないでほしい、日の当たらない道を好む藝人もいることを
三遊亭 司
2026/07/02
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第11回
オシャレは落語家を変える
~バレたら破門の危険なオシャレ!?
桂 三四郎
2026/06/28
掲載記事300本記念
〈掲載記事300本記念〉 柳家さん喬師匠 スペシャルインタビュー【前編】
~小さん師匠の「おめでとう」から始まる新しい年
話楽生Web 編集部
2026/01/25