世間せまないか?
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第7回
- 落語
桂 三四郎
2026/02/01
ざわつく楽屋
僕がいた当時の垂水は、特に魅力のない海辺の田舎街だったけど
たまに藤本章夫会長のようなパワフルな人に出会ったりするのが魅力かもしれない。
しかも、そんな垂水出身の人間が一門に3人もいる。
本当に幅が広い一門だ。
その日は、カナダ人落語家の「桂三輝」(サンシャイン)が弟子を2人連れて師匠に挨拶にきていた。
2人ともNY在住で、三輝の英語落語に魅了されて、我が一門に入ってきた。
1人は日本人の女性で、もともと女優さん。
もう1人は日系アメリカ人で日本語は喋れないが
フィラデルフィアで三味線を習った邦楽のエキスパートらしい。
いや、どこで誰が何を習ってんねん……。
女性の方の名前は「月輝」(ムーンライト)と言うらしく、なかなか洒落た名前だ。
「NY生まれじゃないんですね~」
なんとなく世間話のつもりで問いかけた。
「そうなんです。大学で東京に出てきたんですけど、18までは神戸の垂水ってところに住んでたんです」
ええええぇえええぇ!!!!
楽屋で僕と枝之進が驚きの声をあげる。
まさか一門に4人目の神戸市垂水区の出身者が入っていたとは!!
なんで神戸の片田舎から同じ一門に4人も入ってんねん!!
師匠と垂水は、なんの縁もゆかりもないねんぞ!!!
そういえば数年前まで、この「桂文枝新春特選独演会」を担当していた朝日新聞の社員さんも垂水出身で、月輝と同じ高校出身だったはずだ。
なぜこんなにも、うちの一門は垂水に縁があるんだ?
垂水出身なら、あの人のこと知らないはずがない。
空手着で正拳突きをしながら選挙活動をし、近隣の小学生にマンモスの狩り方を教えていた垂水のラストサムライ!!
藤本章夫会長のことを!!!!
「藤本章夫さんって、知ってますか?」
すると月輝は即答した。
「もちろん知ってますよ!! 私の友だちのお父さんです」
えええええええええ!!
いや世間狭いねん!!!
なんで新参者が垂水のラストサムライと一番関係が深いねん!!!!
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