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2026年6月のつれづれ(東家千春の躍動、三門綾の奮闘、天中軒すみれの研鑽/浪曲陰陽師・第二弾)

月刊「浪曲つれづれ」 第14回

 東家千春には、もともと漫才コンビを組んでいたが相方の脱退によって空中分解し、活動が止まっていたところで浪曲に出会い、東家三楽(あずまやさんらく)に入門したという過去がある。浪曲界の中でももっとも笑わせることの志向が強く、寄席向きの浪曲を作りあげつつある玉川太福(たまがわだいふく)よりも、さらに落語に接近している感がある。

 自らを「宇宙一の美人浪曲師」、相三味線の沢村理緒(さらむらりお)を「宇宙一の食いしん坊曲師」と呼んでキャラクター付けしているのも、笑いで一般層に接近するための手法だろう。

 5月30日には新真打の立川談寛(たてかわだんかん)と「談寛・千春のブツブツ交換会」という会が開かれた。これはいわゆるネタ交換の会で、千春は談寛から「竹取物語 ゆかり姫」をもらって浪曲化し、談寛は千春の「タケルとまみ子のヨコハマ☆ブギ」を落語化した。

「タケルとまみ子のヨコハマ☆ブギ」は題名だけではわからないが、昭和のとある青春映画を下敷きにした一席である。青春映画特有のくさい台詞を棒読みで千春が語り、それにちゃんと三味線と節付けが行われるのでおかしみが倍増する。

 『ガラスの仮面』は、まず三遊亭白鳥の手によって「落語の仮面」なる派生形が作られたそうだ。千春はそれをさらに直して「浪曲の仮面」としてネタおろししている。

 先日、東京は中目黒というおよそ浪曲とは無縁そうな場所で、東家千春の独演会が行われた。〈ナカメオンザビーチ〉という伊豆・下田をモチーフにした飲食店なので、まずは古典から「唐人お吉」の一席、そして後席で「浪曲の仮面」が口演された。初めて浪曲を聴くというお客が多い会場だったので、これはいいやり方だったのではないかと思う。

 東家千春はホームページを持っていて、毎月の予定はそこに記されている。数えてみると、5月は木馬亭定席も含め10回、6月は8回の出演であった。これはもっと増えていくだろう。売れて、若手の一番出世になるか。