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2026年6月のつれづれ(東家千春の躍動、三門綾の奮闘、天中軒すみれの研鑽/浪曲陰陽師・第二弾)

月刊「浪曲つれづれ」 第14回

北関東に浪曲王国を築けるか・三門綾

 東家千春より8ヶ月入門が遅い、三門柳(みかどやなぎ)門下の三門綾(みかどりょう)は、実は日本浪曲協会が主催していた浪曲教室の在籍では少し先輩に当たる。綾ももともと別分野の芸人として活動していたが、浪曲と出会い、師匠になる三門柳の「紺屋高尾」を聴いて入門を決意した。

 当時の柳は、自分は弟子を取れるような格の芸人ではないとして、一切断っていた。そこに粘り強く通ってついに承知してもらったのは、熱意があったのと同時に、柳の師匠である三門博(みかどひろし)を尊崇する態度が認められたからだろう。

 三門綾が年季明けをしてすぐに始めたのが、大師匠である三門博ゆかりの地にもう一度浪曲を広めるという試みだった。三門博の菩提寺は晩年を過ごした茨城県笠間市にある。最寄り駅は水戸線の稲田駅、そこから歩いて20分ほどの西念寺である。三門博の祥月命日は5月5日であり、毎年その周辺で綾は記念の独演会を開いている。

 今年は、その西念寺で5月7日に独演会が開催された。会の開催を支援してくれている社会人落語家の万葉亭小太郎(まんようていこたろう)が開口一番を務め、そこから綾が二席。後席では入門のきっかけとなった「紺屋高尾」を熱演した。

 綾がこの外題をネタおろししたのは自身の年季明けの会であった。そのときはさすがにまだ時期尚早かと思われたが、月日も経ってかなり聴きやすくなっていた。着実に成長している。本人の努力の賜物であり、なによりも相三味線である広沢美舟(ひろさわみふね)の妙技によって押し上げてもらっている一面もあるだろう。

 今年で3回目になる会だが、最初のうちはつばなれ(観客が10人以上)ぎりぎりという状態だったのに、回を重ねるにつれてそれも増している。地元で受け入れられている証拠だ。この日の西念寺公演も、前述の万葉亭小太郎と、水戸でみやぎん寄席の世話人をしている森浩一郎氏が支援してくれていたそうである。