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2026年7月のつれづれ(玉川絹華の名披露目、東家孝太郎の15周年、港家小ゆきの挑戦)

月刊「浪曲つれづれ」 第15回

港家小ゆき、15年目の挑戦

 そのほかのめでたい話題として、港家小ゆきが月例の独演会を日本橋兜町のアートスペース兜座で始めた。題して「港家小ゆき15年目の挑戦 season1」。

 小ゆきが師匠の五代目港家小柳に入門したのは、2012(平成24)年2月である。2027(令和9)年でやはり15周年となるので、それに向けて走り出したということだろう。

 最近の小ゆきは浪曲師としてのほか、台本作家・宮本旅順としても活動し、作品を仲間に提供している。浪曲の固定イメージを離れた題材が多く、アメリカ南北戦争期に奴隷解放運動のために戦った黒人女性ハリエット・タブマンの伝記など、次は何をやるのかとお客に期待させてくれる。この日はフランツ・カフカ「変身」が予告ネタとして出ていた。それが目当てなのか、会場は満員である。

 最初のトークで、自身の入門までを語った「弟子入り物語」と「変身」のどちらを先にやってもらいたいか、という挙手によるアンケートがあった。結果は「変身」があとに。小ゆきは、「『弟子入り物語』は若者が夢に向かって頑張っていこうという話で後味がいいんですけど、『変身』はハッピーエンドじゃないんで。知りませんよ」と牽制しつつ口演に入った。

「弟子入り物語」も初めて聴く。途中で五代目小柳の口演音声がアンコで入るというもので、小ゆきの師匠に対する思慕の程が伝わってくる、よい外題だった。

「変身」は物語の舞台を日本にした大胆な改変が行われており、結末などもかなり違う。しかしこれはこれでカフカの世界に忠実ではないか、という気もするのである。カフカ翻訳家の頭木弘樹氏にも聴いて、感想を言ってもらいたい。どこかでカフカ浪曲会はできないか。

 始まったばかりの小ゆきの冒険、次は7月20日(月祝)の海の日である。予告ネタは「ハリエット・タブマン伝」だ。現在予約受付中なので、ご興味を持った方は 港家小ゆき15年目の挑戦 ご予約フォーム ほかからお申し込みを。

 東京浪曲界、新しい波が確実に来ている。いいぞ。

(以上、敬称略)

玉川絹華 X

東家孝太郎 X

港家小ゆき X

杉江松恋 X

(毎月9日頃、配信予定)