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「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第46回
- 講談
瀧口 雅仁
2026/08/11
師匠から受け取った心
―― まだ客席の中央に通路があった頃の新宿末広亭での山陽先生の立体講談を思い出します。あの時、きっと紅先生が幽霊役だったんだろうと思っています(笑)。真っ暗な客席の中に幽太(幽霊役)が出てきて怖かった……。
紅 懐かしいです。『牡丹燈籠』というと師匠のことを思い出します。幽霊はお露さんとお米さん、どちらもやらせてもらいました。師匠と一緒にやっていた時の息づかいなどを覚えているので、もう一回そこへ戻っていくというか。
師匠が伴蔵の時に、私は女房のお峰の方を喋っている。でも師匠の喋っているのがよみがえってくるんですよね。教わるのは全部教わるんですが、高座ではいつも師匠と相対だったので、それを思い出すんです。

―― 師匠の話が出ましたが、お弟子さんも、一昨年に松林伯知さんが真打になり、来年は紅佳さんの昇進も決まっています。紅一門の存在感がますます強くなっています。
紅 本当に弟子を育てるということは大変です。常に悩みの中にいます。正解がないだけに、どうしていいかわからないことばかりです。こうした方がいいなあと思うことであっても、その人にとっていいことなのか、いつも悩んでいます。
来年、紅佳さんが真打になりますけども、真打になったらちょっとホッとできるんだろうなあと思っているところです。そこまでの間、弟子が成長していくまでの間で、私は悩むタイプですね。その分、育てることは育てられることだなあと改めて思っています。
私には子どもがいませんから、その代わりにではありませんが、そういう悩みを体験させてもらっているんだなあと。少しは人間として成長することに繋がっているのかなあと思っています。
―― 何か悩みが多いような……。
紅 悩みますよ、悩んでいますよ……(笑)。
―― 個性の強いお弟子さんが多いではないですか。何か気を付けてきたことはありますか。
紅 私はなんでも最後は許すタイプで、そこまで情熱を持てるんなら、やってみりゃいいさという人間なんです。だからどんなに理不尽でも、その人の情熱がそこまであるんだったら、応援したくなるんです。
もしオロオロしていたら、どういう風に持っていけばいいかを考えるんですが、そこにも正解がないので悩みますよね。だから日々、成長させてもらっています。これは本心です。
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