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霊んメイカー2

「マクラになるかも知れない話」 第十三回

5秒後のバン!

 また、アルバイトが派遣型だったので、いくつかの病院で働いた。

 別の病院で同じような部屋を掃除しているときに、ああいうデスクは引き出しの一番下のとこだけ大きくなっていると思うのだが、あの一番大きい引き出しがガラーッと開いた。

 え、と思って見ていると、5秒ぐらいして、バン!と閉まった。まるで見えない何者かが引き出しを開けて、それを蹴っ飛ばして閉めたようだった。

 「言い訳できねえ」と思った。

 ガラーッと開いただけなら、まだ立て付けがどうとかで言い訳もできるが、5秒ぐらいして閉まられちゃあ、もう言い訳できないではないか。しかも閉まるときは、バン!である。

 これは……幽霊の仕業? そういうこともある? と思い始めた。

 そして決め手になったのは、ある日、いくつかの病院のうちのひとつで、そこのバイトリーダーの50歳くらいの女性とふたりで作業をしていたときのこと。

 清掃に使うタオルをたたみながら世間話をしていたとき、不意にその女性がこんなことを言い出した。

 「樋口君(萬都の本名だよ)って、おばけとか信じる人?」
 「え、いやあどうでしょう。なんとなくはそういうこともあるかなあ、とは思っていますけどね」

 「そう、苦手?」
 「ええと、怖い話とかは好きですよ」

 「そうかぁ。あのね、怖がらせたくて言うわけじゃないんだけど。今、人手も少なくて、だから若い人が来てくれるの、本当にありがたくってさぁ。しかも樋口君、仕事早いし。なるだけ、ここ長く続けてもらいたいんだよね」
 「はあ、ありがとうございます」

 「でさ、指示書あるじゃん。事務所に来たら初めにもらう、その日掃除するルートが全部書いてあるヤツ」
 「はい」

 「その指示書の清掃ルートにさぁ、旧病棟の地下一階のトイレ掃除が含まれてたらね、『僕、知ってるから、ここの掃除入れません』って、社員さんに言ってほしいのね」
 「えっと……」

 「『僕、知ってるから、ここの掃除入れません』。こう言ったら、そこの清掃ルート外れるから……」