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「すずめのさえずり」 第十三回

 煮詰まる私を見かね、父親が助け船を出してくれた。

 勉強であれスポーツであれ、大人が子供を手助けするときに、大切なのは「程」である。はじめの一歩を、ほんの少し、後押ししてやれば良い。だが、見るに見かねて手を出してくれたであろう父は張り切っていた。明らかに張り切りすぎだった。

 私はその頃から城が好きだったので、城に関係する何かを、と考えたのだろう。それならば、いくつかの城をめぐって、時代による天守閣の形状の違いを調べる、くらいでも、小学生の自由研究としては十分だと思うのだが、建設関係の業界にいた父はそれでは済まさなかった。

 本に載っていた、かつての江戸城天守閣の側面図と呼ぶのだろうか? 真横から見た図、それを大きな紙に引き延ばして描くという。

 本の絵の寸法を測り、それを拡大して方眼紙のようなものに描き込み、着色していく。

 ……という手順を踏んでいたのだろう。たぶん。なにしろやっていたのはほぼ父で、私のほうが「ちょっと手伝った」程度だったので、よく覚えていないのだ。

 そうして出来上がった「江戸城天守之図」は、巨大な紙に、石垣から破風、鯱に至るまで精密に描かれた、堂々たる大作であった。すごい。これはすごい。

 そして、このすごい大作は、明らかに小学生のレベルを超えていた。いたのだが、教師がそこに気づかなかったのか、あろうことかこの年の最優秀自由研究として、全校集会で表彰される羽目になってしまった。ほとんど関わっていない作品の制作過程を、全校児童の前で発表する私。

 「御神酒徳利」の主人公もこんな気持ちだったのだろうか。

 まさか、さらに区のコンクールみたいなものにまで上げられてはいなかったと思うが……実に気まずい夏の思い出である。

 小学生のみんな、宿題は自分でやろうな。自由研究は落語の研究をすればいいよ。