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「すずめのさえずり」 第十三回

【お祭り】

 神社のお祭りで御神輿が出たあと、戻ってくるまでの間を繋ぐというお仕事。手品や曲芸の先生たちと、司会の私からなるメンバー。

 主催者さんは氏子の代表だったのだろうか。どことなく、2000年頃の浅田次郎先生をコワモテにした感じのおじさんであった。こわい。

 なんとなく境内にたむろしている人たちの前にいきなり出ていくのだから、イベントがあることをあらかじめ知っているキャンプ場よりも難しい。幸い今回は司会として呼ばれているのだから、出演者の紹介と、ちょっとした繋ぎだけやれば良いのだろう。そう思いながら進行表を見た。

 「司会者 話芸披露(20分)」

 ジロウ氏に聞いてみた。

 「あの、この話芸披露というのは落語ということでしょうか。座布団とかもないようですが……」
 「いや、落語じゃなくて、なんか喋って」

 それならまんじゅうこわいのほうがまだいい。たとえウケなくても、落語に入ればとりあえず何分かはもつ。

 当時二ツ目なりたて。師匠に習った噺をほぼなぞることしかできなかった私に、20分のフリートークはとてつもなく長かった。寄席で聞き覚えた漫談などやってみたが、10分ももたず逃げるように退場。

 あー、ちょっと短かったかなー。でも押しちゃって進行を滞らせるよりはいいかなー。なんて思っているところに、ジロウ氏が来た。

 「ちょっとまだ神輿が戻るまで時間があるから、もう1回やって」

 まさかの2ステージ目が始まった。

 え? あいつスベり散らかしたのにまた出てきたぞ! お客さんたちの信じられないものを見るような目は忘れられない。終わったあと出演料を持ってきたジロウ氏の顔は、心なしか前よりもっとコワかった。