〈書評〉 世にも奇妙な君物語 (朝井リョウ 著)

「“本”日は晴天なり ~めくるめく日々」 第15回

桃太郎5~6人体制!?

第3話 『立て! 金次郎』

 幼稚園教諭の金山孝次郎は、子どもたちの個性や興味に一人ひとり向き合うことが大切だと考えているが、一年間の行事の中で、親たちは自分の子どもが目立つ瞬間を望んでいる。

 同僚の須永は、子どもたちの意思よりも、想い出を残したい親たちのためにすべての子どもに平等にスポットライトを当てるべきだと主張するが……。

 我が家にも息子がいるので、すごくよく分かる。そう、正直なところ、はっきり言って、他の子どもなんてどうでもいいのだ。自分の子どもを写真に収めることができたらそれでいい。

 欲を言えば、活躍してほしいが、無理だとしても少しは見せ場があってほしい。お遊戯会で桃太郎をやるなら、やっぱり桃太郎をしてほしいと願うのが親の気持ちじゃないだろうか?

 うちの息子の保育園の頃のお遊戯会、演目は『桃太郎』。それは今の世の中らしい内容に改変された桃太郎だった。

 お爺さんとお婆さん役の子どもは、セリフも少し多いので、達者な子が必要だったのだろう、ハキハキとセリフを言える男の子と女の子が選ばれていた。そして主役である桃太郎は5~6人いた。桃の中もパンパンだったに違いない。

 やはり主役という目立つポジションを一人の子にさせるという時代ではないのだろう。桃太郎を増やせば、その分、主演の桃太郎役を演じている我が子を見て喜べる親が増えるのだから。

 その後、鬼も5~6人登場したが、それぞれにセリフがあり、もちろん殴り合うシーンなどはなく、桃太郎側と話し合って円満解決するという話になっていた。