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演芸ファンがほしかったスマホアプリを作りました ――「ご贔屓手帖」ができるまで

月刊「シン・道楽亭コラム」 第17回

あえて入れなかった機能の話

 このアプリでできることは、意図的に絞りました。

 あえて入れなかった機能は、利用者どうしの交流機能。SNSのような投稿機能。他人と競うランキング。会員登録。

 どれも技術的には「作れるもの」でした。AIを使えば、そのハードルは以前よりずっと低い。だからこそ、「入れない」と人間が判断することを大切にしました。判断の基準は、「手帖というアプリのコンセプト」に合うかどうか、です。

 手帖は、人に見せるものではありません。自分のために、自分だけがつけるもの。そこに他人の目が入った瞬間、たぶん別のものになってしまう。手帖なのだから自分のスマホ内に記録がたまっていく。その記録を見て記憶をたどり、次の会への思いを馳せる。それができれば十分です。

 見た目も同じ考え方でした。伝統芸能のサービスというと、緞帳のような重厚な色づかいになりがちです。でも、あえて避けました。

 選んだのは、桜色です。ここは私のこだわりで、常に手元にある手帖はかわいくしたい。気分が上がる色にしたい。もちろん、かわいいと思う色、気分が上がる色は人によって違うので、今後は自分で色を変えられるような機能をつけられたら良いなと思っています。

 ちなみに、記録がたまると座布団が積み上がります。5回で1枚、10枚たまるとピンクの座布団にお取り替え。さらにピンクから金の座布団へ。大真面目に設計しています(笑)。