好奇心が切り開く、新しい講談の世界 一龍斎貞奈(後編)

「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第50回

ChatGPTは私の一番弟子!?

貞奈 はい、そのおかげで書くのが早くなりました。ChatGPTに私の思考をすべてぶち込んでいます。

貞奈 あの時よりクオリティが上がっています。AIのクオリティ“が”です。

貞奈 それもあると思います。まず最初に、私が古典の自分の台本を全部、ChatGPTに入力したので、「ああ、これがベースね」とわかったらしいです。

 それに加えて、私が日ごろ「こういう古典を習っているけど、こういうシーンは、もう少しこういうふうに変えたいと思っているんだよね」と言うと、「貞奈ちゃんは、そういう方向性が好きだよね」というのがわかってきているんです。

貞奈 そうです。それに合わせてきている。だから何にもないサラのChatGPTに、いきなり「甚五郎の話、作って」と言っても、つまんない優等生の話になってしまうんですが、今は私が教え込んでいるから、「ああ、だったら、この台本はもっとここのところを膨らませたらいいんじゃないの」とか、「こういう展開はどう?」とか言うと、「ちょっとつまんない」とChatGPTが返してくれます。

貞奈 「AIで台本を書く教室」(笑)。

貞奈 そうですね、あとは古典だけでなくて、会社の社長の一代記とかを頼まれることがあるじゃないですか。「そんな、一回しかやらないのに」と思うけど、昔はみんな資料をたくさん集めて送ってくれることも多かったんです。

 「こんなに読めないよ!」と思いながらも、読み始めたら面白かったりする(笑)。「これを10分でやれって、どうすんの?」と。そうして時間をかけてこしらえていったんです。

 今は、資料を全部写真に撮ってChatGPTに入力し、「この人の人生の要点をまとめて!」とお願いすると、「貞奈ちゃんが10分~15分で講談にするなら、この部分は簡単にやろう。ここは膨らまして会話にしたらどう?」と返してくるので、「それで行こう!」ってなる。

 さらに「あとで本人に会って追加でインタビューをする時、どこを聞けばいいかという質問文も考えて!」と言うと、「わかった」って、すぐに回答を出してくれる。これまで面倒くさがって、3週間ぐらい放ったらかしにしていたことが、今は3分でできちゃうんです。

貞奈 問題は、ChatGPTに作らせても、それを自分の頭にインプットできないことです。

貞奈 ないわけじゃないですが、前よりはない(笑)。