好奇心が切り開く、新しい講談の世界 一龍斎貞奈(後編)

「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第50回

守りたい芸がある。だから変わらなければ

貞奈 講談の良さは、みんながそれぞれ思っているんですけど、それをどう広めたらいいかとか、協力してくれる人がどこにいるかわからない。引き上げてほしいと思っているのに、受け身なんですよね。何に困っているとか、こうしたいということを言っていかないと、相手もわからない。「それだったら、ここを手伝えるよ」ということ。

 特にお金のことですが、お金を得られるような動きをしないと、クオリティも上がっていかないと私は思ってしまうんです。今の世の中って、特にコンテンツビジネスって、リスクは負うけど、炎上した方が儲かる。それをコンテンツとして面白ければ笑いにするし、叩く文化を楽しむというのもあるじゃないですか。

 ネットはそういうところだからいいと思うんですが、そこはまったく関係ないと私たちは言えないと思うんです。それは人の可処分時間を取り合うライバルにもなり得るからです。そこをちょっと意識しながら、自分たちは良いことをしていますと思い続けていても、そんなことを面白いと思っている人たちに届かないかもしれないじゃないですか。

 今、そういう時代なんだよということを演者もわかった上で、自分の芸に気付いてもらえるか、こっちも面白いんだよと気付いてもらえるかを考える必要がある時代なのではと思っています。

 あとは私の時代は、講釈師に向いていなければすぐに「辞めろ」と言われたんですが、それが結果として、今の講談界の人数、業界の姿なんだと思うんです。これだけ知られていないというのは、数が足りなさすぎる。まだお互いに食い合うというところまでいっていないと思っているんです。講釈師だけで全国に200人はいないと思うんです。

 この間、瀧口さんが女性講釈師の人数を59名と数えていましたが(2026年9月の記事)、全国で講釈師を名乗っている人が130名くらいなんです。

 女性講釈師は6割だとずっと思っていたんですが、その数から考えると、もう6割はいなくて、5割を下回ってきているのに、いまだに女性が多いという、そういう認識でしかない。つまり以前と今では業界が置かれている状況が変わっていることに気付いていかないと。

 あとは一龍斎貞心を知らなさすぎる。これは非常にもったいない! うちの師匠のことをもっと知ってもらいたいですね。