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2026年10月のつれづれ(玉川祐子104歳を祝う会、注目の浪曲公演)

月刊「浪曲つれづれ」 第18回

芸を支える人の情

 中入り後に、港家小そめが舞台に上がる。

 小そめは、五代目港家小柳の弟子だが、東京の講談・落語界では前座にあたる年季明け前の時点で師匠が亡くなり、他の一門に所属しなければならなくなった。それを引き取って預かり弟子としてくれたのが、祐子だったのである。

 祐子は小柳の親友で、東京での相三味線も務めた。実は小そめが小柳に入門志願をした日、同じ場所に祐子もいたのである。小そめのキャリアは、そのまま祐子と一緒にいる長さでもある。

 この日、小そめが口演したのは、「水戸黄門漫遊記 尼崎の巻」だった。2019(令和元)年6月に年季明けをした際、祐子に弾いてもらった思い出のある一席だ。その時は、終演後に出演者が勢ぞろいし、祐子と一緒に「大利根月夜」を合唱した。そうした思い出について触れたのち、玉川祐子一代を謳いこんだ外題付(げだいづけ)を唸ってから、小そめは本題に入った。

 モタレは、11月18日に「木馬亭初舞台 五十周年記念浪曲会」を木馬亭で開く木村勝千代である。

 山梨県上野原市育ちの勝千代は、同市のPR大使を務め、地元の民話などから取材した甲州街道浪曲を多く手掛けているが、その一つである「姥捨山(うばすてやま)」がこの日の読物であった。題名からぎょっとした観客もいたと思うが、実はこの外題、生活の知恵を持つ高齢者を大事にしようという孝行がテーマなのだ。

 客席を温めておいて、いざ玉川祐子が舞台に。

 幕が閉じた状態で支度をしている最中から、もう声が聞こえてくる。祐子の声は大きい。楽屋入りすると、客席にそれがすぐ伝わるくらいである。この日も講談の神田桜子が高座を務めている時に祐子の声が響き、語っていた「応挙の幽霊」が一瞬止まった。