新しい響きを持つ講談への挑戦 神田おりびあ(後編)
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第40回
- 講談
瀧口 雅仁
2026/06/01
おりびあの高座風景
一時期、絶滅危惧種とまで言われるも、現在、東西合わせて120名を超えるまでになった講釈師。江戸から明治、大正、昭和と、主に男性が読み継いできた芸であったが、平成、令和と時代を経て、女性目線による女性の講談が世に送り出されてきた。その時、講釈師は何を考え、何を読んできたのか。第一線で活躍する女性講釈師に尋ねてみた。〈神田おりびあさんの前編/中編/後編のうちの後編〉
修羅場読みが鍛える講釈師の骨格
―― ところで初高座は軍談でしたか。
おりびあ 『わんぱく竹千代』でした。『三方ヶ原』はその後です。
―― おりびあさんの高座では『本能寺』も印象に残っていますが、これから読んでいきたい軍談はありますか。
おりびあ やりたいな、できたらいいなと思うのは『山崎合戦』や、途中まで読んでいる『川中島』です。
以前の話楽生Webでのインタビューの場でも記したことがあるが、前座は修羅場だけを読んでいればいいという意見もある。講談に長く接していると、確かに修羅場にしっかりと取り組んでいるかいないかで、その先の読みが変わってくることを感じる。
墨亭の高座でも、おりびあは『三方ヶ原軍記』にはじまり、『甲越軍記』、そして先に話に出た新作講談(ほかにも『西洋髪型合戦』等)、そして後出の『青葉の笛』といった古典にもしっかりと向き合ってきただけに、これからの高座が楽しみでならない。今、どんな気持ちで講談と向き合っているのかを次に尋ねてみた。
―― 師匠(神田香織)からの教えでこれだけは!というものはありますか。
おりびあ 話を作る時でも何でも、まともな人ばかりを置くと大変だから、少し変わった人を置いておくのがいいわよと。師匠は普通ということを絶対視せずに、また、変わり者も排除しないんです。そうしたマイノリティも大事にする生き方や感性は共感できて、私も似ているなと思っています。
―― なるほど。では、高座に向かう時に心していることはありますか。
おりびあ まずは絶句しないように、今はそれが一番です。最近は少しばかりお客様の顔を見られる余裕が出てきました。ガチガチで高座に臨んで、引き事まで考えてから上がるのではなく、気持ちに余裕を持って上がれるようになりたいですね。まだそこまでは行けていません。
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