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2026年6月のつれづれ(東家千春の躍動、三門綾の奮闘、天中軒すみれの研鑽/浪曲陰陽師・第二弾)
月刊「浪曲つれづれ」 第14回
- 浪曲
杉江 松恋
2026/06/09
東家千春はどこまで伸びるのか
浪曲界に吹く、若手旋風
5月から6月初頭にかけての浪曲界で感じたのは若手の快進撃が続いているということだった。
5月17日には昨年に続き、浪曲親友協会の京山幸太(きょうやまこうた)がお江戸両国亭で独演会を開催し、東京本格進出に向けて第二歩を踏み出した。

幸太の下の世代も頑張っている。先日収録が行われたNHKの東西浪曲大会でもそこに注目したコーナーが設けられたようなので、放送される際にはぜひご覧いただきたい。
関東は次々に入門者が来ているようだが、関西はしばらく協会入りが途絶えているので、京山幸太やその上の真山隼人(まやまはやと)が広告塔になって、新人を引っ張ってもらいたいものだ。
宇宙一の美人浪曲師・東家千春が仕掛ける笑い
若手と言えば、最近でもっとも勢いがあるのは、本サイトでも連載中の東家千春(あずまやちはる)だろう。
艶のある声と、物語に節を乗せるための工夫については前座時代から定評があって、成長が期待されていた。私がお世話をしている〈スギエゴノミ〉という演芸会内で年季明け前に勉強会を開いた。そこで初めて千春の新作浪曲を聴き、こういうことができる人なのか、と驚いたのである。今だから言えるが、出囃子も打ち込みの電子音楽で上がっていくという、結構型破りな勉強会であった。
ブレイクのきっかけは、美内すずえ原作『ガラスの仮面』(白泉社)を浪曲化したことだろう。先日のNHKFM『浪曲十八番』でついに、「浪曲ガラスの仮面 第1章 千の仮面を持つ少女」が放送された。主人公の北島マヤが月影千草に見いだされ、劇団つきかげに入門するまでの物語冒頭である。
連載が長期にわたっていることもあり、『ガラスの仮面』に登場するもろもろはすでにネットミームとして定着している。この第1章でも月影の「恐ろしい子」という台詞が効果的に使われていた。当然だが観客からも反応がある。誰でも知っている原作を使い、そこに観客が期待しているお約束のフレーズをきちんと盛り込んでサービスする、という千春の戦略が当たった結果であろう。
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