NEW

霊んメイカー2

「マクラになるかも知れない話」 第十三回

霊んメイカー2

題字:三遊亭萬都

三遊亭 萬都

執筆者

三遊亭 萬都

執筆者プロフィール

言い訳できない

 こんにちは、三遊亭萬都です。

 好きなパンは、ちっこいあんぱんです。

 さて前回に引き続き、お題は「幽霊」です。

 小学校のときの体験から、「幽霊まったく信じてない派」だった私が、どうして今は「なんかあるだろう派」になったのか。

 私は師匠・萬窓のもとに入門してから、落語協会の前座として楽屋入りが叶うまでのいわゆる「見習い」と呼ばれる期間に、夜間の病院の清掃のアルバイトをしていた――。

 どうですか。もうなんか出そうでしょう!?

 見習いの期間は、やること自体あんまりないのだが、師匠に呼び出されたときは直ちに駆けつけなくてはならないので、夜間の仕事を選んだ。

 なんとここで、あまりにも普通に「怪奇現象」を目の当たりにしたために、私は「なんかあるだろう派」になった( “目の当たりにした”と書いたが、どうも私は霊感というものがないらしく、がっつり幽霊を見た、ということはないのだが )。

 例えば、ひとりで事務室みたいなところを掃除しているとき、自分の目の前の机の上に置いてある鉛筆が転がらずにツーッと20センチほど横に動いた。

 「転がらずに」だ。

 夜間といえども病院の清掃なので、すぐ隣の部屋には看護師さんやお医者さんがいるので、「怖い」とは思わなかった。じゃあこのとき、なんと思ったか。

 「言い訳できねえ」だ。

 人間はおかしな物事を前にすると、とにかく自分を納得させるために言い訳を考える。『こういうわけでこうなったのだから、おかしくない』。でっち上げでもよいから、そうして安心したいのが人情だ。

 でも、机や床が傾いているわけではない。何かがぶつかってもいない。エアコンなどの風のせいでもない。「コロコロ」と転がって動いたとしても不思議な場所と条件で、「ツーッ」だ。

 しかも20センチだ。