講談への情熱は今も変わらず 一龍斎貞寿(後編)
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第11回
- 講談
瀧口 雅仁
2025/08/30
講談師としての原点と憧れ
―― 大好きな講釈師で、今、会いたい人はいますか。
貞寿 (小金井)芦州先生ですね。
―― 貞水先生ではないんですね。
貞寿 初めて生で見た講談師は貞水先生で、貞水先生は私にとって別格の大ファンであるのは間違いないんですが、ありがたいことに、私は一龍斎ということで、晩年まで先生のそばで勉強させていただく機会がありました。
ところが、同じファンでも、芦州先生は私の中に1ミリもないんです。お会いしたこともなければ、その感性も私が持っていないものの塊。ないものねだりをしても、できないものはできない。だから、もし叶うならば、お会いして、色々と教えていただきたい。
あとは五代目(貞丈)に会いたい。とにかく読み方が美しい。独特の間、体言止めを多用される調子は本当に耳に心地よく、自然に講談の世界に連れて行ってくれるんです。その五代・貞丈先生の口調に一番似ているのは、うちの師匠だと思います。私が入門を決める時に、師匠しか考えられなかったというのは、今思い返しても大正解でした。
六代目小金井芦州(1926~2003)もまた、昭和平成の名人の一人に数えられ、啖呵(たんか)の切れる高座が人気で、立川談志が「最後の講釈師」とまで称した講釈師であった。この7月に講談協会が主催する新宿講談会で「六代目小金井芦州生誕百年祭」が開かれたことは記憶に新しい。
講談協会×日本講談協会、「泉岳寺講談会」の舞台裏
そして、講談界は絶えず新しい試みを行っており、講談とは切っても切れない縁にある赤穂義士の眠る泉岳寺で、2021年10月から講談協会と日本講談協会の共催による「泉岳寺講談会」が開催されており、貞寿はその運営担当を任されている。中堅どころの中心にいて、発言力を持つようになった貞寿が、これからの講談界について何を考えているのか。
―― 今、泉岳寺講談会の世話人としても活躍されていますね。
貞寿 企画立案や出演者交渉など、会の運営全般を担当しているんですが、まとまらないこともあって大変です。でも(宝井)琴調会長と(神田)紅先生が全面的にバックアップしてくださるので、(松林)伯知さんと二人で何とか頑張っています。中央義士会さんが協力してくださったり、スポンサーを名乗り出てくださる企業があったり、いろんな方々に助けていただいています。本当にありがたいです。その分、プレッシャーもありますが、楽しくやらせていただいています。
―― 何か今、考えている企画などはありますか。
貞寿 来年、50回目を迎えるので、車読み(リレー講談)とか、何か面白いコラボができないかなと。講談協会と日本講談協会が共催で行っている唯一の会なので、その特徴を生かした企画ができないか、常に考えています。企画や、出演者の組み合わせで、会の雰囲気はガラッと変わります。お客様に「絶対に観に行きたい!」と思っていただけるような会を一つでも多くお届けできるように。大変ですけど、何とか100回までは続けていきたいですし、この会をきっかけにして講談ファンが増えてくれたら嬉しいですね。
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