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火曜日の提灯

「コソメキネマ」 第十四回

火曜日の提灯

今回は浪曲を軸に、移民社会の混沌と愛憎を描く映画をご紹介

港家 小そめ

執筆者

港家 小そめ

執筆者プロフィール

浪曲火曜亭

 銀座線田原町駅からほど近く、日本浪曲協会(浪協)の浪曲会館があります。

 築64年のレトロな雰囲気の外観、中に入ると畳敷きの和室。桃中軒雲衛門(とうちゅうけんくもえもん)や歴代の浪曲協会会長の写真がずらっと並んでいます。孫文(そんぶん)の額や、浪曲師の師匠方のサイン額もあります。

 私が気に入ってるのは、浪曲協会のロゴが入ったガラス戸。

 表からは見えにくいですが、欄間にもこのロゴが刻まれています。座布団も浪曲協会マーク入り。ここで日々浪曲協会員が稽古や事務作業、会議などをしています。浪曲公演が行われることもあります。

 この場所で毎週火曜日に行われているのが、「毎週通うは浪曲火曜亭」という公演です。浪曲二席にトークという構成です。火曜亭の始まりは、国本武春師匠が若手に公演の場を増やしたいということだったと聞いたことがあります。

 この火曜亭の一番の特徴というと、演者との距離の近さでしょうか。コロナ前までは、終演後「茶話会」という、出演者とお客様が同じテーブルを囲んで、お茶を飲みながら話をするという時間がありました。この茶話会でお客様同士が仲良くなったり、浪曲情報を交換されていたり。舞台との距離も、人との距離も近い浪曲会です。

 私が浪曲界に入った頃、この火曜亭はそれほど知られていなかったように思います。お客様もあまり多くありませんでした。

 その上、ただでさえ、少ないお客様が道に迷ってたどり着けないということもありました。浪曲協会は住宅街の中にあり、隣は駐車場、浪曲協会という渋い木製の看板はありますが、ちょっと見にはわかりにくく、普通の住宅のようにも見えます。

 私は元々チンドン屋という職業をしております。宣伝して人を集める商売。仕事柄、集客がないというのは、ちょっと気になる。いや、結構気になる。来る気がないなら良いけれど、せっかく来たのに迷ってたどり着けないとは! なんと、もったいない!と常々思っておりました。

 そんな時、火曜亭の茶話会で、ここはわかりにくいよね、という話になりました。あるお客様が「何か目印を付けたらいいんじゃないの? 提灯とか」と仰いました。なるほど、それだ!と思い、当時、よく一緒に前座仕事をしていた兄さんに相談してみました。すると「会議にかけなきゃいけないから、大きさと仕様を何種類か見積もりを取ってください」という返事。

 ええ? わたしが? めんどくせぇ~と思いながら、提灯屋さんに「この大きさでこの仕様だといくらですか?」「ロゴを入れるとどのくらいかかりますか?」みたいな電話を何度もかけ、またですか~浪曲協会さん~のような反応に、すみません! どれかは絶対買いますので!! 見積もりお願いします!みたいなやりとりを何度か繰り返し、いよいよ会議の時。