NEW

火曜日の提灯

「コソメキネマ」 第十四回

大提灯

 提灯を注文された経験をお持ちの方はそんなに数多くないと思いますので、ご存じないかと思いますが、提灯はある大きさを超えると値段がグンとあがるのです。

 ある程度の大きさまでは需要も多く、大量生産されているので手ごろなお値段ですが、それ以上はいわゆるオーダーというやつで、まあまあ良い値段。私がその時に取ったいろいろな大きさの見積もり書の中に、これは高いから買うことはないだろうけど、一応入れておくかと思って入れていた、超特大の提灯のものもありました。

 会議の時に、その席にいらっしゃった澤孝子師匠が「これがいいんじゃない」と言われたのが、その超特大の提灯でした。

 ええ! いいの!?と思った私は、恐る恐る「あの…これ、結構値段高いのですが…」と言うと、「みんなで頑張ってお客様を呼びましょう」と晴れやかな声で仰いました。

 ということで作られたのが、現在、火曜亭の時に入り口に下げられている大きな提灯です。その後、迷うお客様は格段に減り、沢山のお客様に来ていただけるようになりました。私のような、しみったれた人間だったら、中途半端な大きさの提灯を選んで、大した効果も得られなかった気がします。

 やはり、浪曲界の荒波を越えてきた師匠は、流石だなぁと思った次第です。

大提灯に入った浪曲協会のロゴ

 今は武春師匠も、孝子師匠もおられず、茶話会もなくなりましたが、火曜亭は今も続いています。大きな提灯も少しくたびれましたが、変わらず火曜亭への道案内として、浪曲協会の入り口を照らしています。