第三話 「内輪ノリ」
「令和らくご改造計画」
- 落語
三遊亭 ごはんつぶ
2025/10/12
#3
そんなことを考え、例によって楽屋のすみで頭を抱えていると、一人の前座さんが現れた。
通亭まにあ(つうてい・まにあ)さん。きっちり揃えた前髪に黒縁メガネ、奥の真面目そうな眼差しが印象的な、女性の前座さんだ。
まにあ 「兄さん、私に任せてください! 楽屋の先輩方、師匠方はわかっていないんですよ。自分たちが他人からどう見えるか、身をもって体験させてあげます!」
そう言うや否や、彼女は楽屋の真ん中に立ち、とあるマイナーアニメについての膨大な知識を、大声で披露し始めた。
登場人物の相関図、幻のOVA(オリジナルビデオ)版のエピソード、さらには誰も知らない声優陣の裏話まで。矢継ぎ早に捲し立てる。
楽屋の芸人たちはポカンと口を開け、顔を見合わせるばかり。彼女が何を喋っているのか、理解しようとしてもまるでわからない。
普段は内輪の世界で快適に暮らしている噺家たちが、今度は逆に「理解できない側」へと追い込まれてしまったのだ。
まにあ 「ほら! どうしました? わからないでしょう? みなさんがやっているのは、つまりこういうことなんですよ!」

――的確すぎる一撃だった。
芸人たちもはっとし、内輪にばかり向けた発信ではなく、外の人・世間に向けて、もっと丁寧に情報を伝えなければならないと改めて考えさせられる。
僕もその様子を見て、感心していた。
思えば、第一話や第二話の前座さんたちは過激なやり方で問題解決を試みてきたが、今回の通亭まにあさんは、やはり女性ということもあってか柔らかで、しかも核心を突いている。
なるほど――こういう方法もあるのか。自分も見習わなければならない。
……と思った、その直後。
まにあ 「わかったかこのやろぉぉぉぉおおおお!!!!」
突然叫ぶと、彼女は楽屋の師匠たちに向かってスタンガンを振りかざした。ビリビリと音が響き、師匠たちは次々と泡を吹いて気絶していく。
僕 「あっ、やめなさ――」
止めに入った僕もまた、スタンガンの餌食となり、気を失った。
いま読まれています!
「エッセイ的な何か」 第14回
「生きていてくれ」と思いながら落語をやった夏
~真夏も真冬も、落語は熱い!!!
三笑亭 夢丸
2026/07/22
「コソメキネマ」 第十五回
漂泊の思ひやまず
~義理の父娘に情を尽くすも、また恋が実らない寅さん映画をご紹介
港家 小そめ
2026/07/23
「エッセイ的な何か」 第3回
8/31は、野菜の日 →ミョウガ21本を食べた男の記憶
~落語『茗荷宿』のウソとホント
三笑亭 夢丸
2025/08/19
「講談最前線」 第23回
2026年7月の最前線 【前編】 (講談界の襲名について考える)
~講談はいつも面白く、そして新しい
瀧口 雅仁
2026/07/17
「芸人本書く派列伝 オルタナティブ」 第15回
〈書評〉 笑点出演者其俤 三〇〇〇回の記録と余禄 (神保喜利彦 著)
~ページを開けば、昭和の日曜夕方が帰ってくる。読むほどに『笑点』がもっと好きになる“非公式”ガイド
杉江 松恋
2026/07/20
「講談最前線」 第24回
2026年7月の最前線 【後編】 (聴講記:講談協会定席 / 講談『太閤記』小考④)
~講談はいつも面白く、そして新しい
瀧口 雅仁
2026/07/18
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第11回
オシャレは落語家を変える
~バレたら破門の危険なオシャレ!?
桂 三四郎
2026/06/28
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第1回
流麗にして弁舌 一龍斎貞鏡 (前編)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2025/05/29
「くだらな観音菩薩」 第15回
阿弥陀如来
~同期であり、仲間であり、ライバルであり、親友だった一人の噺家への想い。そのままの言葉、そのままの心
林家 きく麿
2026/07/16
「エッセイ的な何か」 第13回
6月26日は、露天風呂の日 →全裸のおじさんに囲まれた“おじさん”を見つめる男の苦笑
~湯けむりの向こうに、シュールな光景があった
三笑亭 夢丸
2026/06/24
「くだらな観音菩薩」 第15回
阿弥陀如来
~同期であり、仲間であり、ライバルであり、親友だった一人の噺家への想い。そのままの言葉、そのままの心
林家 きく麿
2026/07/16
「講談最前線」 第23回
2026年7月の最前線 【前編】 (講談界の襲名について考える)
~講談はいつも面白く、そして新しい
瀧口 雅仁
2026/07/17
シリーズ「思い出の味」 第25回
芸とともに受け継がれる一門伝統の味
~人を思い、芸を磨き、心をつなぐ伝統の味をほのぼのと綴った、食のエッセイ
露の 五九洛
2026/07/19
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第41回
一途に講談を生きる 田辺いちか(前編)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2026/07/14
「エッセイ的な何か」 第14回
「生きていてくれ」と思いながら落語をやった夏
~真夏も真冬も、落語は熱い!!!
三笑亭 夢丸
2026/07/22
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第42回
一途に講談を生きる 田辺いちか(中編)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2026/07/15
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第43回
一途に講談を生きる 田辺いちか(後編)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2026/07/16
「講談最前線」 第24回
2026年7月の最前線 【後編】 (聴講記:講談協会定席 / 講談『太閤記』小考④)
~講談はいつも面白く、そして新しい
瀧口 雅仁
2026/07/18
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第11回
オシャレは落語家を変える
~バレたら破門の危険なオシャレ!?
桂 三四郎
2026/06/28
「芸人本書く派列伝 オルタナティブ」 第15回
〈書評〉 笑点出演者其俤 三〇〇〇回の記録と余禄 (神保喜利彦 著)
~ページを開けば、昭和の日曜夕方が帰ってくる。読むほどに『笑点』がもっと好きになる“非公式”ガイド
杉江 松恋
2026/07/20
「くだらな観音菩薩」 第15回
阿弥陀如来
~同期であり、仲間であり、ライバルであり、親友だった一人の噺家への想い。そのままの言葉、そのままの心
林家 きく麿
2026/07/16
「令和らくご改造計画」
第十二話 「荒れるチラシ」
~最近の前座さんたちは、時々おかしい
三遊亭 ごはんつぶ
2026/07/13
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第11回
オシャレは落語家を変える
~バレたら破門の危険なオシャレ!?
桂 三四郎
2026/06/28
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第41回
一途に講談を生きる 田辺いちか(前編)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2026/07/14
「二藍の文箱」 第14回
三遊亭小歌という落語家がいた
~忘れないでほしい、日の当たらない道を好む藝人もいることを
三遊亭 司
2026/07/02
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第42回
一途に講談を生きる 田辺いちか(中編)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2026/07/15
月刊「シン・道楽亭コラム」 第15回
彦八まつり、芸協らくごまつり、謝楽祭 ~三大祭を全部巡って見えた、それぞれの魅力
~同じ落語のお祭りなのに、三者三様の魅力が面白い。現地で感じた熱気と空気感をお届けします!
シン・道楽亭
2026/07/10
「釈台を離れて語る講釈師 ~女性講釈師編」 第43回
一途に講談を生きる 田辺いちか(後編)
~魅力と素顔に迫るインタビュー
瀧口 雅仁
2026/07/16
「講談最前線」 第23回
2026年7月の最前線 【前編】 (講談界の襲名について考える)
~講談はいつも面白く、そして新しい
瀧口 雅仁
2026/07/17
「宇宙まで届け! 圧倒的お転婆日記」 第15回
このまま宇宙一を名乗っていて良いのか?
~宇宙一の美人浪曲師が綴る、愛おしすぎる芸人日記
東家 千春
2026/07/03
「くだらな観音菩薩」 第15回
阿弥陀如来
~同期であり、仲間であり、ライバルであり、親友だった一人の噺家への想い。そのままの言葉、そのままの心
林家 きく麿
2026/07/16
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第10回
ああ…麗しの吉本興業……
~吉本興業を辞める話なのに、なぜこんなに爆笑してしまうのか!?
桂 三四郎
2026/05/12
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第9回
優雅な航海中の後悔を公開
~“憧れの仕事”から繋がる伏線が鮮やかな船旅エッセイ!!!
桂 三四郎
2026/04/13
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第11回
オシャレは落語家を変える
~バレたら破門の危険なオシャレ!?
桂 三四郎
2026/06/28
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第5回
落語家の夢
~俺の目は、まだ濁っていない!!!
桂 三四郎
2025/11/27
「令和らくご改造計画」
第四話 「初心者よ永遠なれ」
~AIが落語を演じる時、それでも人は笑えるのか?
三遊亭 ごはんつぶ
2025/11/12
「令和らくご改造計画」
第六話 「若手人気落語家殺人事件 【事件編】」
~古典派と新作派の溝!?
三遊亭 ごはんつぶ
2026/01/12
「艶やかな不安の光沢」 第1回
謂れなきものたちの飛躍
~年始からとちってしまった芸人の胸のうち
林家 彦三
2026/02/12
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第6回
運と皆様のおかげです
~人間は弱い生き物です
桂 三四郎
2026/01/01
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第7回
世間せまないか?
~落語家を多数輩出する片田舎、神戸の垂水
桂 三四郎
2026/02/01
編集部のオススメ
「けっきょく選んだほうが正解になんねん」 第11回
オシャレは落語家を変える
~バレたら破門の危険なオシャレ!?
桂 三四郎
2026/06/28
「エッセイ的な何か」 第13回
6月26日は、露天風呂の日 →全裸のおじさんに囲まれた“おじさん”を見つめる男の苦笑
~湯けむりの向こうに、シュールな光景があった
三笑亭 夢丸
2026/06/24
「くだらな観音菩薩」 第14回
烏瑟沙摩明王(うすさまみょうおう)
~叱るより先に、話を聞いてあげたい
林家 きく麿
2026/06/16
「令和らくご改造計画」
第十一話 「塀の中」
~最近の前座さんたちは、時々おかしい
三遊亭 ごはんつぶ
2026/06/13
月刊「シン・道楽亭コラム」 第14回
小学校で10年間、落語を読み聞かせしてわかったこと ~子どもたちにウケた噺ベスト3+番外編
~子どもたちは正直だった。だから落語の本当の面白さが見えた
シン・道楽亭
2026/06/10
「座布団の片隅から」 第14回
旅路(上)
~噺家3人の珍道中! 笑いと涙と二日酔いの落語ツアー前半戦
三遊亭 好二郎
2026/06/07
「二藍の文箱」 第13回
地図にない街、地図にない店
~京都、新宿、上野、浅草、池袋。師匠と行った名店の記憶
三遊亭 司
2026/06/02
掲載記事300本記念
〈掲載記事300本記念〉 柳家さん喬師匠 スペシャルインタビュー【前編】
~小さん師匠の「おめでとう」から始まる新しい年
話楽生Web 編集部
2026/01/25