小学校で10年間、落語を読み聞かせしてわかったこと ~子どもたちにウケた噺ベスト3+番外編

月刊「シン・道楽亭コラム」 第14回

第3位 『鯛』

 桂文枝師匠(創作当時は、桂三枝師匠)の名作で、東京では、柳家はん治師匠がよくかけている。私もはん治師匠の『鯛』を聞いて、「これは子どもにウケる」と、すぐ取り掛かった。

 魚の擬人化はとにかくわかりやすく、『スイミー』を例に出すまでもなく、絵本や童話の鉄板パターン。『鯛』は落語絵本がとても良かったので、これに関しては例外的に絵本を見せながら、文章は自分で書き起こしたものを読んでいた。

 まだ学校に緊張気味の1年生でも喜んでくれて、読み聞かせの時間は楽しいと感じてもらえる噺として、頼りにしていました。

第2位 『青菜』

 これは、絶対笑ってくれる。爆笑系の決定版です。

 今も通じるお笑いの定番がいっぱい詰まっていて、設定がシンプル。植木屋と友人の掛け合いがそのままボケとツッコミになっている。さらに締めには、押し入れに閉じ込められていた女房が、汗だくで出てくる。

 これはもうわかりやすいコント!

 絵は見せず、語りだけでしたが、子どもたちの頭の中にはちゃんと植木屋と女房と友人が浮かんでいる。だから、サゲの「弁慶」「義経」がよくわからない低学年でも、そこまでの勢いで、しっかり笑ってくれる。

 大爆笑のうちに終わり、「あのお母さんは面白い人だ」と、次回の私の読み聞かせを楽しみにしてくれるような、威力のある噺でした!

第1位 『子ほめ』

 文句なし! ウケなかったことが一度もないと思います。

 寄席に1日いれば、その日のどこかで誰かが必ずかけてくる、揺るがぬ“鉄板”。聞くたびに新しい笑いどころを見つけて、聞くたびにメモしていくので、プリントした自分の台本がぐちゃぐちゃになっていた。

 鉄板の理由が、自分で読み聞かせをしてみて、よくわかりました。聞いてすぐわかる笑いが、ちゃんと最後まで続いていく。

 すごいなあ、子ほめ。

 膨大な数の噺に触れ、覚え、口に出して練習し、子どもの前で読み聞かせをしてきた10年間は、今振り返ると大変だったけど、本当に楽しい期間でした。

 正直なところ、一番ハマっていた時期は、寄席を「ネタ探しの現場」として見ていた節があって、落語への向き合い方が少し歪んでいたかも、と反省もあります。申し訳ございません。

 教室で聞いてくれた子どもたちが、いつか落語に触れることがあったら、「そういえば、誰かのお母さんが学校に来て、落語をやっていたな」と思い出してくれたら、うれしいなあと思っています。

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