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第十二話 「荒れるチラシ」

「令和らくご改造計画」

#6

 と、例によって楽屋の隅で頭を悩ませていると、背後から声がした。

 「兄さん、喋りすぎですよ!」

 振り返ると、前座の早し家急平(はやしやきゅうへい)くんが、手拭いで汗を拭きながら立っていた。

 「えっ、うそ。声に出てた?」
 「丸聞こえです。落語家は普段、街を歩きながら稽古している時なんかも少し声が漏れていますから。その習慣を続けているうちに、自分で思っている以上に声が出ていたり、出していることすら忘れていたりするようになるんです。……誰にお礼言ってるんですか?」

 「お世話になっている席亭さんたちに」
 「直接伝えてください!」

 さらに、急平くんは真顔で言った。

 「ところでAIでチラシって、明らかに他派の特定の師匠をイジっていますよね?」
 「急平くん。意味のわからないことを言うのはやめてくれよ。本当に。一連の騒動でみんなうんざりしてるんだから」

 「やっぱりあの師匠じゃないですか」
 「急平くん!!! ……そんなことより今回は、君が問題を解決してくれるのかな?」

 すると彼は、肩をすくめる。

 「まあ確かに、いつも前座がやって来ると、あの手この手で兄さんの悩みを解決しようとしてきましたけど……さっきも言いましたよね? 今回は、兄さんの悩みパートが長すぎました。あと話楽生Web内で兄さんだけ内容浮いてるんですよ」
 「わかってるよ」

 「文字数もおかしいし。兄さんのやってる胡散臭いオンラインサロンと間違えてるんじゃないですか?」
 「……そうかもしれない。確かに長かったよね。こういう時代だから語弊を生まないように、漏れのないようにって思うと、この文字数になっちゃうんだよ」

 「オンラインサロンでも、こういう説教くさい話を書いてるんですか?」
 「毎日書いてる」
 「気持ち悪すぎます。……まあ、とにかくですね」

 急平くんは、パン、と手を叩いた。

 「今回は時間がないので、パッといきますよ。とりあえずチラシのデザインのほうは、兄さんが解決策を見出していたっぽいので、例の予約方法がメールのみのほうです。それも、乱暴に、アドレスを表記しているだけの」

第十二話「荒れるチラシ」