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修行か、修業か

「噺家渡世の余生な噺」 第15回

門訓の真意

 修行と呼ぶ人がいて、修業と呼ぶ人がいる。どちらも間違いではない。

 私自身は、前座は「修行」だと思っている。芸より先に、人を磨く時代。噺家の了見を覚え、仕来りを覚え、暗黙の約束を覚える。噺は、そのあとでも遅くはない。

 そして二ツ目になれば、「修業」が始まる。芸を磨き、工夫を覚え、自分の高座を作る。――だが、人生だけは、真打になっても終わらない。結局、人生は、一生修行。そんなふうに思っている。

 五代目柳家小さん一門には、こんな門訓がある。

 「芸を磨くより、人を磨け。人を磨く前に、己を磨け」

 師匠方は、このひと言を背中で教えてくださっている。芸は人が演じる。だから、人が育たなければ、芸も育たない。それだけは、今も昔も変わらない。

また今月

 さて、この文章をここまで読まれた方の中には、「それでは、お前の独演会は芸で客を集めているのか。それとも企画で集めているのか」と、そんな意地の悪い疑問を抱かれた方もおられるだろう。

 その答えは、余生に出ることになる。だから、どうか御贔屓(ごひいき)の皆様。独演会のお見送りで、「楽しかったです。また来年」とは、どうか仰らないでいただきたい。もちろん、そのひと言は嬉しい。だが噺家というものは、少々欲深い。

 「また来年」ではなく、「また今月」のひと言のために、今日も高座へ上がっているのである。

五代目 柳家小志ん 公式ホームページ

https://kosin5-yanagiya.com

柳家小志ん X

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  • 書名 : 柳家さん喬一門本
  • 副題 : 世にも奇妙なお弟子たち
  • 著者 : さん喬と弟子たち
  • 出版社 : 秀和システム
  • 書店発売日 : 2021年1月
  • ISBN :9784798063287
  • 判型・ページ数 : 四六判・240ページ
  • 定価 : ―

(毎月14日頃、配信予定)