芸とともに受け継がれる一門伝統の味

シリーズ「思い出の味」 第25回

幽霊さんはサバが好きやねん

 ちなみに、一門行事「幽霊まつり」では、私たち落語家が「かめちゃぶ」を食べる傍ら、お祀りする幽霊の掛け軸にサバをお供えします。

 なぜサバなのか? 師に問うと……。

 「さあ……はっきりしたことは分からんが、二代目は『“幽霊さん”はサバが好きやねん』と言うてはったから……そういうこっちゃ」

 そ、そういうこっちゃ!?

 でも、「サバが好き」という、なんとも人間味あふれる“幽霊さん”の存在に、『怪談噺は究極の人情噺』という、一門の教えを知るヒントがあるように思いました。

 怪談噺の締めくくりに行われる「幽霊まつり」では、“幽霊さん”に「この夏もお世話になりまして有難うございました」と、感謝と労いの祈りを捧げます。

 サバが好きだという“幽霊さん”。怪談噺の出番が終わったら、是非、サバサバとした気持ちでこの世への未練を断ち切り、成仏してもらいたいものですネ!

 ……おっと、これはこれは、「一門伝統の味」を紹介するつもりが、最後は「アジ」ならぬ「サバ」のお話で、失礼いたしました☆

(文中、敬称略)

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(了)