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〈書評〉 笑点出演者其俤 三〇〇〇回の記録と余禄 (神保喜利彦 著)

「芸人本書く派列伝 オルタナティブ」 第15回

『笑点』誕生前夜

 座布団合戦については公式本などでたびたび触れられているところで、本書ではほぼ触れられていない。

 むしろ、どうしてそうした番組が成立しえたのかということが巻頭の「大喜利番組前史」では述べられていて、公共放送においては、1949(昭和24)年1月3日にNHKでラジオ放送が始まった『とんち教室』であった、というのは言われてみればなるほど、という指摘だった。

 青木一雄アナウンサーが司会を勤め、六代目春風亭柳橋、三代目桂三木助のほか、作家の玉川一郎、漫談の大辻司郎、漫画家の宮尾しげ尾などが代々の出演者となって、ユーモアあふれる回答をする、という人気番組である。本書によれば1968(昭和43)年3月28日まで放送は続けられたという。これに影響を受けた諸番組があり、その上で1965(昭和40)年3月12日に立川談志発案の『金曜夜席』が始まる、という流れがある。

 日本テレビが主導する公式本では、この前身番組について多くの紙幅を割かれることがあまりないため、「『金曜夜席』の時代」の章は貴重である。初めての座布団運びが漫才師の西〆子であったことや、オーディションに合格しながらもキャバレー営業のほうがギャラがいいと放送第1回の収録を無断欠席した三遊亭さん生(故・川柳川柳)がクビになり、幻の創設メンバーになったことなど、興味深い記述が並んでいる。

 そうした前史があり、1966(昭和41)年5月15日に60年余の長きを誇ることになる長寿番組が開始したわけである。その全容をまとめた「笑点略年表」で序論は完了する。次いで始まるのが「笑点三〇〇〇回の記録」だ。おそらく放送記録を丹念に調べたのだろう。毎回の出演者がほぼすべて記載されている。本書の価値はこの点にある。

『金曜夜席』1965年3月12日のメインは初代林家三平の落語で、ゲストとして四代目柳亭痴楽が出演している。爆笑王の共演だ。前述の事情でレギュラーからは降板させられたさん生だったが、1966年4月22日の放送最終回では出演してジャズ落語を演じている。