〈書評〉 笑点出演者其俤 三〇〇〇回の記録と余禄 (神保喜利彦 著)
「芸人本書く派列伝 オルタナティブ」 第15回
- 落語
- Books
杉江 松恋
2026/07/20
記録が語る発見
いかがだろうか。柳家小さんが連続出演しているのは二回撮りだったからだろうかとか、カレンダー販促に向けて橘右近・左近に出てもらっているなとか、いろいろ思うところがある。
年末はやっぱり総集編で乗り切っているようなのだが、それでも毎回攻めたゲストを呼んでいることがわかるだろう。このときすでに懐かしのあの人扱いになっていたトニー谷を呼んでいるところも渋いが、江戸情緒酉の市に全国お雑煮自慢と季節ネタを盛り込み、果ては電動パチンコマル秘必勝法である。このころもうパチンコには電動台が出現していたのか、と意外な気持ちになった。
早いといえばツービートが出ていることで、巻末の「索引及び出演ランキング」によれば、この年の7月25日が番組お初である。漫才ブームが勃発したのは1980(昭和55)年だが、その前から若手漫才師がメディアに登場する機会は増えていたのである。
一時期、ツービートのライバルとされていた星セント・ルイスは、1973(昭和48)年4月15日と初登場が3年も早い。逆に関西勢は遅く、第一次漫才ブームの立役者で1970年代に出演した者はごく僅かである。このへんが東京制作の番組たる所以だろう。B&Bや紳助・竜介は出演リストに名前を見つけることができなかった。とはいえ、漫才コンビで最多出演を誇るのは41回のおぼん・こぼんなのであり、1967(昭和42)年11月19日に初出演を飾っている。おぼん・こぼんは東京・赤坂のシアター・レストラン、コルドンブルーで1972(昭和47)年から10年間MCを勤めるなど、早くから東京に定着していたという事情もあるのだろう。
というような発見がたくさんある本だ。ぜひ一家に一冊お買い求めを。巻末の「索引及び出演ランキング」にはジャンルごとに誰が何回、いつ出演したかが記載されている。
気になる浪曲師では三代目・玉川勝太郎が12回で2位の玉川太福・国本武春に倍以上の差をつけている。もっとも太福はこれからも出演の機会があるから、いずれ大師匠の記録を抜くこともあるだろう。浪曲師最初の出演は初代相模太郎で、1966年1月28日、『金曜夜席』時代だった。
気になって探したのだが広沢瓢右衛門の出演はなし。あれれおかしいな、ではいったい何で観たのだろうか、と個人的な謎は却って深まるのであった。
(以上、敬称略)
(毎月19日頃、配信予定)
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