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「生きていてくれ」と思いながら落語をやった夏

「エッセイ的な何か」 第14回

 このとある小学校の体育館、炎天下でお年寄りたちが集められていた。

 我々は、ステージ横の用具倉庫みたいなところで待機。

 扇風機はついているのだが、焼け石に水で、ただただ不快な熱風が吹き付けるのみであった。

 早く開演してしまおう、そのほうが皆のためだ……という願いもむなしく、「始まる前にセレモニーがある」という非情な通告。

 しかも、一時間。

 また、この偉い人たちの挨拶が長いんだ!

 予定時間を大幅に超え、いよいよ演芸会が始まったが……

 地獄絵図!!!

 そりゃそうだ! 比較的若者な我々が至近距離で扇風機に当たっていてですら、この辛さである。お年寄りの苦労は、いかばかりであろうか。

 なかにはもう、耐えられずに横になっている人もちらほら。もう、反応うんぬんというレベルではない。野戦病院のような惨状。

 「頼む……生きていてくれ……」

 と、レスキュー隊みたいな心持ちで、一席申し上げたのだった。

 いやあ、しかし本当に犠牲者が出なくて良かった(多分)。

 『敬老』とはなんぞやということを、深く考えさせられたのだった。

 まあ、お年寄りを真夏の体育館にギュウギュウに収容するのは言語道断であるが、子供たちだってそうである。

 夏の学校寄席はこのうだるような暑さの中、体育館に押し込められ、無理やり、落語を聴かされるのだ。幼少期のトラウマにならぬことを願うばかり。

 「落語? 暑いから嫌い! 二度と聴きたくない!」

 みたいなことにならなければ良いが。聴く方もやる方も、お互い過酷な状況は避けたいものである。

 ……まあ、呼んでもらったら一生懸命やるしかないのだけれども。