NEW

「生きていてくれ」と思いながら落語をやった夏

「エッセイ的な何か」 第14回

 夏の高座で暑い思いをするのは当然なのだが、真冬で夏以上に汗だくになったことがある。

 それは、立派な露天風呂が自慢の某温泉ホテルにての仕事。

 夕方から大広間で一席やらせていただくというお話だったのだが、ギリギリ間に合うということで無理やり日帰りの行程を組まれてしまった。

 「泊まらせてくれよー! 温泉も入りたかったよー!」

 ……とも思ったのだが、決まっていることなので仕方ない。開始45分前に件のホテルに到着。結構ギリギリだ。

 控え室にホテルの支配人がご挨拶に来てくださった。

 「ぜひ自慢の温泉にも入っていただきたいのですが、時間がないでしょうかね」

 ――入っちゃう! そんなこと言われたら入っちゃいますよ、温泉!

 こっちも入りたかったんですよ!! ものすごく!!
 終わったら、強制的にとんぼ返りだし!!!
 いいんですね!!!!

 ……もう必死。

 まだ時間はある。せっかくなので、そのご自慢の温泉とやらを拝見させていただくとしよう。

 大急ぎで大浴場へ。温泉は物凄い大きさ! 露天風呂も相当立派! これはもう、入るしかないでしょう! 田舎っぺ大将ばりのスピーディーな脱ぎっぷりで、そそくさと入湯。

 真冬、雪景色の中の広大な露天風呂、たまらん! そして特筆すべきは、この泉質の良さ!

 やはり無理してでも入って良かった。

 しかし、そろそろ時間だ!