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〈書評〉 上方落語 笑われてあと心地よき 寄席囃子 (四代目 林家染丸・門弟一同 著)

「芸人本書く派列伝 オルタナティブ」 第16回

「うちの子や」に込めた師匠の情

 染丸には『上方落語 寄席囃子の世界』(創元社)という労作もある。同書を含む活動や、寄席囃子の歴史については、第四章に収録の中川桂「『お囃子の世界』 寄席囃子・染丸師匠」に詳しい。

 また、第一章にも「寄席囃子の世界」と題された章で染丸自身が詳しく語っており、ここを読むと上方落語らしさとは何かということが、目ではなくて耳から入ってくるような心持ちになる。たとえば、上方落語にあって江戸落語にない道具「小拍子(こびょうし)」に関する以下のようなくだり。

 染丸一代記にあたる第一章や、四代目の言葉を弟子たちが振り返る第五章「染丸語録」など、その人柄が伝わってくる箇所も興味深い。

 16歳で弟子に入った師匠・三代目染丸は、「戎っさんが100万円拾った顔」と言われる笑顔が魅力だった。その師匠宅で内弟子となり、まずは芸人としての基本をしつけられる。

 厳しいが優しい師匠でもあった。風呂釜に火を点けようとして失敗し、ガスに引火して大きな爆発音をさせてしまったとき。